第27話 枯原や赤いペンキで石を塗り

「新人賞」受賞後の私の「鷹」での成績は、その後伸びも落ちもせず平板なままで推移した。俳句を止めたいという気持ちは薄らいでいたものの、以前のように燃えたぎる情熱は再燃して来なかった。自分の作品が上向かないこともさることながら、同志の作品から全く刺激を受けなくなっていた。新人会の頃のように、発奮されて自分の向上心に繋がるような作品が、私の周囲から消えてしまっていた。それは自分の能力が限界を迎えたためなのか、それとも環境のせいなのか。三十歳を迎える少し手前で、私は再び深い迷いに落ち込んでいた。

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