第21話 枯原や鳥の羽根散るひとところ

それからは、句会へもほぼ出向かなくなった。伊沢惠の指導句会には定期的に出席していたものの、俳句を作ることには全く張り合いを感じなくなっていた。「鷹」誌上での成績も当然振るわなくなり、私の名は次第に巻末に近くなった。新人賞の候補にすら名前が上がらなくなり、私はかつての「東京新人会」の同志の華やかな活躍を、ただ誌上を通して傍観しているのみであった。二〇〇三年に入っても状況は変わらず、句会に出ても俳句が全く出来ないこともあった。藤田湘子に見捨てられた落胆は、何を以てしても補い難いものであった。俳句と決別しようという気持ちが、俄かに起こりつつあった。

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