一夜の殺人

色とりどりの花のうち

静かにあなたは泣いている

雨はあなたを土に埋めて

私の身体を打ちつける

いつか見たあなたの涙を

私の花にできるなら

きっと何もいらないはずで

だけどあなたはそうさせず

私の根本にうずまって

私はあなたの上に咲く

あなたを包んで

あなたをむしばみ

あなたを愛して

あなたを咲かせる

あなたがあなたである限り

私は私であるのだろう

雨はやまない一夜の殺人

あなたはきっと私を殺した

私は多分あなたを殺した

雨の中に埋もれてしまう

あなたと私は誰かしら

どうせなら死んでしまえばいいわ

冷え切ってしまえば温もりだって思い出す

あなたは私 私はあなた

夢物語も雨に濡れ

現実はカラカラの空を湛えてる

花はいつか枯れるのでしょう

なら私も溶けて還りたい

土の中へとあなたの傍へと還りたい

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