心内望遠鏡

慟哭どうこくに秘めた憎しみは

延命の忘却に楔を打つよ

錆びた鉄の囚人の悲鳴に応えて


球形に想いはしがみついて明日を待つ

周旋しゅうせんに波立てて泡沫となれ人の夢


遠い焦燥に思い馳せ見つめて

赤面し繭に隠れて転生し

春を思えば現に夢は花咲いて


集塵しては風に愛おしく梳かれる君の黒髪は

悠然たらしめ憚らずうたは届くよ君の胸


凝固する清水の恋慕れんぼに苔は

いにしえに枯れた発芽が化石になると

君を想った明日の先案じてみても


象形できないこのすべて明日へと届かぬ今ここに

憧憬しても風と化す哀れみこそはなればこそ


蒼穹そうきゅうのもとに花咲いて深々と

投身すれば頬をくすぐるぬくもりに

人の手拍子歌声たかだかと


手を振り歌えば悠久の誰かに繋がる詩が聞こえる

かすかにたしかに繋がれた血脈はしかと躍動し


氷解するすべてはただ今ここから古に

忘れられたそのすべてを古からただ今ここに

幾星霜に巡る営みの形なくしてあるそれを

みつめてみつめて今しかと

みすえてみすえて古と

みとめてみとめていとおしく

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