2話
「覚えているかわからないから、
昨夜した話からもう一度話すね」
と言っておじさんが話し始めた
するともう1人のおじさんは
真剣でありながらどこか悲しそうな
表情を浮かべていた
「〜というわけで、本当に突然で、悲しい事故だった。君のお父さんとお母さんは、その命をもって君を守ったんだ。
誇りに思いなさい。」
涙が溢れ出した
一度聞いた話だが、
もう一度聞いてもやはり
大好きな父と母が死んでしまったのは
小学生の僕には受け止めきれなかった
泣いてる間ずっともう1人のおじさんは
僕を抱きしめてくれていてすごく安心した
ひとしきり泣き終わると、
おじさんが、
「私は兄さん方が守った君を、これから
大人になるまで守り抜く義務があると思っている。だから、どうだろう?
退院したら私と叔母と一緒に暮らさないか?」
その言葉とずっと抱きしめてくれていたもう1人のおじさんの温かさに安心しきっていた僕は、すぐに
「お願いします!」と返事をした
それからしばらくして、退院の日になった
おじさんと交代交代でたまに来ていた
叔母さんが車で迎えに来てくれた
一瞬僕はびくっとしてしまったが
おじさんが何も言わず手を握ってくれ、
おじさんの家へと向かった
僕は、おじさんの家の子供になった
おじさんの家はうちの近くだったので、
小学校が変わったりはしないで済んだ
周りの友達は、なんとなく親から
事情を聞いていたみたいで
手続きをしにおじさんと共に市役所
へ行く途中、僕を見つけた友達は
心配するような眼差しを僕に向けてきていたが、話しかけてくる者はいなかった
おじさんはそんな友達を見ている
僕に
「大丈夫。すぐに前のように話しかけてくるようになるさ。」
と言ってくれた
どうも僕はおじさんの優しい言葉と
もう1人のおじさんの温かな行動に
弱いようである
「うん、もう大丈夫!」
とおじさんに返事をすると
おじさんはいつもの温和な笑みを浮かべ、
「それじゃあ、行こうか」
と言って手を出してくれたので
僕はぎゅっとおじさんの手を握り
市役所まで歩いた
手続きが無事に終わり、
おじさんの家に帰る途中、こちらに駆け寄ってくる4人の男女がいた
「しゅんだ!やっぱりしゅんだよ!」
と僕の幼馴染たちがやって来た
彼らは皆家が近くて、よく近くの公園で小さい頃から遊んできた者たちだった
「大丈夫だったか?めーーっちゃめちゃ心配したぞ!!」
と少しうるさいような大きな声で
僕に心配の声をかけてくれたのは
この頃の愛称はけいちゃんで、
坊主頭に大きな少し丸々とした体
優しそうな顔つきは
まるでくまさんのようだ
見た目通りの大らかな性格で
みんなのリーダー的な存在でもある
そんな発言とともに現れたもう1人の彼は大泣きしながら心配の表情を浮かべていた
「ほんっとーーに心配したんだから!!
大丈夫なの…よね?」
と
愛称はなっちゃんだ
彼女から現れたもう1人の彼女は目に涙を浮かべ、僕を心配そうに見ていた
「俺も…心配した…」
とボソッとつぶやくように心配の声をかけてくれたのは
彼は普段から静かで恥ずかしがり屋だが
夏が男子にからかわれているとすぐに駆けつけ、夏を連れ出すという友達想いな一面もある(夏がからかわれる原因の1つがこれ)
ひょろ長い感じの体型で、足が速い
愛称はつかさだ
つかさだけなんでかつかさだ
もう1人のつかさが1番激しく泣いてたと思う
「しゅ…ん…くっ…し、しんぱいしたよっ!グスッ…」と泣きながら僕に声をかけてくれたのは
かわいい
これに尽きる
ショートボブっぽい髪がかわいい
ちっちゃめの背がかわいい
目を赤くして泣いてるのもかわいい
そんな彼女から現れたもう1人の彼女も同じく泣きながら心配そうなかわいい目を向けてきていた
僕が
「あやちゃん、泣かないで!えぇと…」
と困っていると圭ちゃんが
「泣くなんてあやかはだっせーなあ!」
と声をかけた
うるさい、お前も本当はほぼほぼ泣いてるようなもんだろと心のなかでツッコミを入れる
そんな様子を見ていたおじさんが
「ふふ、よかったね、しゅん、私は先に帰っているから遊んできなさい。」
と言ってくれたので
彼らといつもの公園に行くことにした
ちなみに僕の名前は
言葉を見る @tsuraritsurari
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