終章 また逢う日まで


 空は蒼い。

 海は白い。

 今日も海底の竜は美しい。北東に頭を向け、南西に尾を向け、巨大なシルエットを悠然と横たえている。

 その背に座り込んだオリヴィエ・ユーリエは天上を行く揺り籠を見上げていた。一握りの人々を乗せ、一握りの生き物を乗せ、青い空をゆく小さな大地を。

「また会おうね、ノア」

 オリーブの葉が戻るのは、まだ先の話だ。

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サキモリ ~浅き夢、守りし~ 霜前七七五 @shimosaki775

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