輪転

作者 雨宮吾子

日本酒を嗜むひとの文学。

  • ★★★ Excellent!!!

小説にも、いろいろな「味」があると思う。
甘いクリームのようなもの、舌が痺れるような珍味、
いくらでも食べられる駄菓子のようなもの、
水のように透明に澄んだもの。書き手によってその「味」は異なる。

これは日本酒の味がする文学だと思う。

お酒を口にしていいのは大人になってからで、
その味を好ましいと思うときには、子どもだったころの
記憶はさかさまに覗きこんだ望遠鏡のように、遠いものになっている。
そして年を重ねるごとにその味の深みがわかるように
わたしは本作を読み返すごとにこの文章の味を噛みしめることになると思う。

アルコールはまったく駄目なわたしだけれど、
お酒が呑めなくても、この文章を好きだと思えること、
この文章に酔えることの幸福を、しみじみと感じています。

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