閑話
「ねえねえ転校生、あんた友達作んないの?」
日本の高校に通い始めて一週間。最初こそ皆嬉々として私に関わって来たけれど、私の方が皆に関心がないと気付かれてからは、教室の隅が定位置だった。
昼休みに食堂へ向かおうとした矢先、他クラスの女子に話しかけられた。
「良かったら、私達と一緒にご飯食べない? えーっと、ヒルダさんだっけ? 私、鬼束」
そう言って女は、性根を隠すように張り付けた笑顔を振りまく。
私は見透かす能力だけれど、性格までは分からない。けれど、その女は、気性を隠しているのが言動からだだ漏れだった。耳障りな声色だったし、目障りな表情だった。
対して隣に居るやたら長身の女は、第一声の時から変わらず無表情。こちらは、逆に取り繕うものが何一つないといったがさつさが風貌から溢れていた。
第一印象は、とても良いとは言えないものだった。
私はそうやって、鬼束舞香と春比良綾魅に出会った。
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