現在 その三

 二年前と同じ路線の電車に乗って、同じ駅で降りて、同じホテルの同じ部屋に泊まる。ホテルに着いたときにはもう十一時を回っていたけど、あたしと彼女の妹は一風呂浴びることにした。脱衣所で制服を脱ぐ少女の白い背中を眺めて、あたしは彼女にはなかったほくろを見つける。そうやって、ひとつひとつ、あたしはこの少女が彼女じゃない証拠を探している。彼女が戻ってきたわけじゃない、ってことを、あたしのココロに教え込ませるために。


 一緒に露天風呂につかった。少女がのぼせるまで。ゆでだこになってふらふらの少女を抱きかかえながら部屋に戻って、布団に仰向けに横たえた。少女はすぐに寝息を立て始める。あたしはホテルの廊下にある自販機でビールを買ってきて、規則的に上下する少女の胸を眺めながらそれを飲んでいた。それから、あたしは少女のお腹から下にかけてあった布団をめくり、左足を見た。小指はきちんとそこにあったけど、彼女の言っていた〝虫〟らしきものは、あたしには見つけられなかった。

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