読み終わるのはあっという間でしたが、読後はまるで自分自身も神隠しから帰ってきたかのような心地がしました。儚げな物語によく似合う文体です。筆者の言葉選びのセンスには、出会った瞬間一目惚れしてしまったのですが、その魅力が存分に詰まった作品だと思います。
最初から最期まで、言葉がゆるりと花開きながら、視界に、体中に舞い続けるようでした。文字――人の動きを追うことを、一瞬も止めることができませんでした。世に生まれ落ち、息をし生き、死する――その営みを儚くもろく、やさしく受け止めて綴られています。とても素敵な物語を観させて下さった望灯子さんに、感謝を。
繊細で美しい描写に、鮮やかなイメージが脳裏にしっかりと焼き付く作品です。ただ美しい。文章が美しい。心に残る幸福感と切なさが絶妙に絡み合う、そんな物語。
感動でまだ胸の高鳴りが止みません。洗練された言葉使いと、その表現。読むものを惹きつけて止まないその言葉たちは、一人の少女と謎の青年を創り上げた。桜の咲くその頃に二人は出会い、そして少女の願いは永遠となった……。