エピソード60/春休みに向けて

今日は俊之としゆきの家に皆が集まっている。


俊之は今日、アルバイトが入っていたが、昼休みに電話をして休む事にした。


そしてあつしも呼んで、皆で集まったのである。


木綿子ゆうこ「ごめんね。急に」


俊之「いいって」


由佳ゆか「別に学校で話をしても良かったじゃん」


俊之「そうだけどさ~」


木綿子「アルバイトを休む事にしたんでしょ!?」


俊之「どうせ春休みになったら、バリバリ働かなきゃならないんだから、今日一日くらい休んだって、どうって事はねーの」


由佳「本当はサボりたかったんじゃないの!?」


俊之「バレたか」


淳「バイトをサボる口実にしたのかよ」


俊之「そそ」


木綿子「大竹おおたけ君もごめんね」


淳「気にしないでいいよ。俺、一人がいなくなったからって、どーって事はねーし」


絵美えみ「何か予定があったの?」


淳「木村きむら達と遊ぶ予定だったんだけどね」


俊之「今日は無理矢理に連れてきたんだ」


淳「山ノ井やまのいがバイトをサボる為の口実に使われたんだよ」


俊之「それを言うなって」


淳「んで、今日は何か、あんの?」


由佳「木綿子が親から皆にって、遊園地のチケットを貰ったんだって」


俊之「それで、いつにしようかって話」


淳「何だ、そんな事かよ。本当に学校で済ませられるじゃん」


俊之「まあ、いいじゃないか。俺がバイトをサボれたんだから」


淳「いいのは山ノ井だけじゃねーか」


絵美「それで、いつにするの~?」


俊之「俺はいつでもいいよ。皆に合わせられるし」


由佳「私もアルバイトは事前に言えば、いつでも休めるよ」


木綿子「私も大丈夫かな」


絵美「私も~」


俊之「大竹はどうよ?」


淳「俺はちょっと、いつでもって訳にはいかないかな」


俊之「じゃあ、大竹の休みに合わせるべ」


絵美「大竹君は春休み、何のアルバイトをするの?」


淳「俺は引越し屋をやるんだ」


俊之「シーズンだもんな」


由佳「大変そうだね。引越し屋って」


淳「まあ、仕事なんて、どれも大変だろ」


由佳「私はそんなに大変じゃないけどね」


俊之「佐藤さとうのバイト先は、そんなに客が来ないもんな」


由佳「なんか、気に障る言い方だけど、その通りなのよね。だから、退屈を我慢するのが大変なくらい」


俊之「贅沢を言ってら」


由佳「あんた、一々、うるさいわね」


木綿子「それで、大竹君はいつがいいの?」


淳「俺は29日しか空いていないな」


絵美「え!?休みが1日だけなの?」


淳「そうなんだよ。シーズンなだけに忙しいみたいなんだ」


俊之「それに春休みは短かいじゃん。俺だって多分、その日しか休めないよ」


由佳「じゃあ、29日で決まり!?」


俊之「OK」


絵美「私は学校が始まる前日に、もう1日、休もうっと」


由佳「私もそうしようかな」


そして今日は勉強はせずに5人でくっちゃべっていた。


先日、学年末テストを終えたばかりで、俊之以外の4人は勉強をする気なんて、サラサラなかったのである。


しかし俊之だけは夜に勉強をするつもりでいた。


だから、今は皆での、おしゃべりを楽しむ。


そんな初春の夕方であった。

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