エピソード55/バレンタイン

今日もまた、俊之としゆきの家に皆が集まっている。


そして今日はバレンタインデーでもあった。


絵美えみ「ねぇ、ねぇ。俊君は幾つ貰ったの?」


俊之「俺は10個くらいかな」


由佳ゆか「結構、沢山、貰ったじゃん」


俊之「っても、絵美の以外は全部、義理チョコだけどな」


由佳「大竹おおたけ君は幾つ貰ったの?」


あつし「俺も10個くらいだよ」


俊之「でも、大竹のは殆ど、本命だろ!?」


淳「う~ん。どうなんだろうな」


由佳「はっきりしなさいよ」


淳「だって、貰った方からは、はっきりは分からねーよ」


俊之「そんな事はないだろ!? 義理チョコを貰う様な関係だったかどうかくらいは」


淳「まあ、そうなんだけどさ。どこまで本気なのかは分からないじゃん」


俊之「そりゃ、どこまで本気かは、ともかく、義理じゃないのは一応、本命だろ」


淳「そういう事なら、山ノ井やまのいの言う通りになっちゃうのかな」


俊之「そんじゃ、チョコはみんなで、おやつにしようぜ」


そう言いながら、俊之はチョコをテーブルの上に出した。


由佳「いいの!?」


俊之「いいよ。義理チョコだったら、別に他の人に食べられてもいいべ」


由佳「でも、私があげた奴もあるじゃん」


木綿子ゆうこ「私のもある。自分があげたのを食べるのって、ちょっと変だね」


俊之「絵美から貰った奴だけ後で、ゆっくり自分で食べるから」


淳「俺も出そうか!?」


俊之「大竹のは自分で食べてやれよ」


淳「佐藤さとう川村かわむらから貰った奴は義理だべ」


俊之「それは出しな」


淳は由佳と絵美から貰ったチョコを出した。


由佳「また私があげたチョコが増えちゃったわ」


そして皆でチョコを食べ始める。


俊之「佐藤は本命、誰かにあげたの?」


由佳「うっさいわね。そんなの、あんたに言う必要はないわ」


俊之「うはは。本命、いないんだべ。早く見つけろよ」


由佳「余計なお世話よ」


淳「何!?佐藤は本命がいねーの!?」


由佳「うん。正直に言うと、今年は見つからなかったんだ」


俊之「何だよ。俺と大竹とじゃ、全然、対応が違うじゃないか」


由佳「当たり前でしょ。山ノ井君と大竹君を同じにしちゃったら、大竹君に失礼じゃん」


俊之「何だよ、それ。 長谷川はせがわに言われるなら、まだしも、佐藤にそう言われる筋合いはないと思うけど」


由佳「あるわよ。顔でそう決まっちゃうのよ」


俊之「そうなのか!?」


俊之は絵美に訊いた。


絵美「う~ん。やっぱり顔じゃ、俊君、大竹君には敵わないかな」


俊之「何だよ。絵美までよー」


由佳「まさか、あんた、大竹君と顔で勝負が出来るとでも思っているの!?」


俊之「うっせーな。俺だって、そんな風には思っていないけどよ」


由佳「だったら、文句なんて言う必要はないじゃん」


俊之「分かったよ。そんじゃ、俺は台所で勉強をするわ」


そう言って、俊之は立ち上がって台所へ行った。


由佳「それじゃ、私達も勉強を始めましょ」


木綿子「そうだね」


由佳、木綿子、絵美、淳の4人もリビングで勉強をし始める。


そして俊之は台所で、他の4人はリビングで、夕方まで勉強を続けた。


夕方になると先ず、木綿子と淳が帰る。


由佳は2人に気を遣って残った。


そして俊之がリビングに戻る。


由佳「あの2人、どうなっているんだろうね?」


絵美「気になるよね」


俊之「長谷川から話を聞いていないの?」


由佳「木綿子の話じゃ、何の進展もないみたいだけど」


俊之「そうなんだ」


絵美「俊君は大竹君から話を聞いていないの?」


俊之「俺は聞いていないな」


由佳「そうなんだ」


俊之「だって、あの2人、まだ微妙な感じじゃん。中々、訊き辛いよ」


由佳「そうなのよね~」


俊之「暫くは、そっとしておけば、いいんじゃない」


由佳「そうだね。でも、私だけ一人で帰らなきゃならないんだよね」


俊之「うはは。つい本音が出たな」


由佳「うるさいわね」


俊之「佐藤、今日、ウチで夕飯を食べていけよ」


由佳「いいの!?」


俊之「いいよ。そうしたら、俺と絵美で送ってってやるから」


絵美「そうしなよー」


由佳「じゃあ、ご馳走になろうかな。山ノ井君のお母さんの料理、美味しいもんね」


絵美「うんうん。本当にすごく美味しいよね」


由佳「お母さんに電話をしておこ」


絵美「私も」


由佳と絵美は自分の携帯で自宅に電話した。


そして電話を終えると、3人は再び、おしゃべりを始める。


もう幾らもしない内に俊之の母も帰って来るだろう。


そんなバレンタインデーの夕方であった。

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