第10話「新メンバー募集」




「新しい仲間……ですか?」

「ああ、やっぱりクエストに出て思ったんだけど今のパーティーだとバランスが悪すぎる。てか、そもそも……

 たった二人でパーティー組んでクエストに挑む頭のおかしい初心者パーティーなんてありえないんだよ。

 なぁ、だから、あと一人でも仲間を募集しようぜ? せめてもう一人戦える奴か後衛が保身だよ」

「そうですね。確かにマサヤの言うとおりです。では早速ギルドの掲示板にパーティーメンバー募集を出しますか」


 そうして、るりりんに出してもらったメンバー募集の張り紙がこれ




『我求む! 


 新たな力! 頭脳! 闇に飲まれ紅蓮をさまよう我ら二つの魂を導きし新たなる力よ!


 今ここに集い新たな革命を刻まん!


 希望者は紅魔族のアークウィザードにして最強の魔法使い「るりりん」の元へ来たれし』




「アホか――っ!」

「あ、痛たぁ――っ!」


 募集の告知を読んだ俺はるりりんの頭を思いっきりひっぱ叩いた。


「マサヤ! 何をするんですか!」

「何をするんだはこっちのセリフだ! いや、むしろ何てことをしてくれたんだ!

 こんな募集で人が集まるわけ無いだろう! どうすんだよ。こんな怪しい募集みたら絶対俺達他の冒険者から頭のおかしい奴扱いされるぞ……」

「むぅ……そんな事を言うのならマサヤが書けばいいんですよ!」


 それで俺が書いたのがこれ




『【急募】新メンバー募集!


・仕事内容 パーティーとしての前衛または後衛 


・雰囲気 アットホームなパーティーです


・報酬分け前 完全出来高制 



 とてもやりがいのある少数精鋭のパーティーです! 能力によっては報酬の増加もあります! 完全実力成果主義! このパーティーで美味しいご飯が食べられるようになったとの声も! 冒険者として成長できるパーティーです! ノルマもありません!



・資格 パーティー未経験者大歓迎! (最高職についている若い女性の方に限ります)』




「アホですかぁああああ!」

「痛だぁああああああああああああ!」


 俺の書いた求人を読んだ、るりりんが突然頭を杖で殴ってきた。


「何すんだ!」

「マサヤはアホですか! 何ですかあの見るからにヤバそうな雰囲気の漂うメンバー募集は! あれ、絶対に入ってから後悔する系の募集じゃないですか!」

「え、そ、そうか? 俺のいた世界ではどの求人もあんな感じだったぞ?」

「あ、貴方のいた世界ではこれが普通なのですか……だとしたらその世界は直ぐにでも滅ぶべきだと私は思いますよ。それにしても、もう少しマシな書き方はなかったんですか!」


 仕方ないだろう! だってこのパーティーの募集でまともに書ける事が少なすぎるんだよ!

 だってそもそもパーティーは二人しかおらず、片方は最弱職の冒険者。そして、もう片方は炸裂魔法しか使えないアークウィザードそんな二名だからクエストでまともに稼げるか分からないから報酬は保障できないし何もアピールする所が無い!


「だとしても、最後の資格のアレは何ですか! 一体なんで資格に『最高職についている若い女性の方に限ります』なんて書いたんですか!」

「あ、アレは……それだよ! だって出来るなら強い人に来てもらいたいじゃん! そして、女性がいいじゃん! ハーレム作りたいじゃん! 野郎とかお断りなんだよ!」

「な、何だか……私は急にマサヤとパーティーを組んでるのが不安になってきたんですが……」

「安心しろ。俺はロリコンじゃ無い」

「おい、コラ。それは一体どういう意味か聞かせてもらおうか……?」

「待て! バカ! お、俺が悪かった! だから、ここで炸裂魔法を詠唱するな!」


 そんなこんなで俺とるりりんは二人で協力してパーティー募集の内容を考えてギルドに新メンバー募集の張り紙を依頼した。


 そして、完成したのがこれだ。





『我ら求む! 


 新たな力! 頭脳! 闇に飲まれ紅蓮をさまよう我ら二つの魂を導きし新たなる力よ!


 今ここに集い新たな革命を刻まん!


【新メンバー募集内容!】


・仕事内容 パーティーとしての前衛または後衛 


・雰囲気 アットホームなパーティーです


・報酬分け前 完全出来高制 


 とてもやりがいのある少数精鋭のパーティーだよ♪ 能力によっては報酬の増加もあり! 完全実力成果主義! 冒険者として成長できるパーティーです! ノルマもありません!


・資格 パーティー未経験者大歓迎! (最高職についている若い女性の方に限ります)



 希望者は紅魔族のアークウィザードにして最強の魔法使い「るりりん」の元へ来たれし』





 …………うん、何かよりヤバイ感じになった気がする。





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