15-17日目(昼)

 ソキの旅日記 十五日目

 朝日が昇るくらいでオアシスについたです。

 携帯食糧とデーツを買いました。

 すこし寝て出発しました。それで、一番暑い時にお昼寝したです。

 これから、一番暑い時間はお昼寝するってリボンちゃんと約束しました。

 その代わりに、夜に歩くですよ。

 いまは、夜になって歩いていて、休憩中です。


 ……そういえば、リボンちゃんはいつ寝てるですか?

 ちょっと聞いてくるですよ。


 『アンタはだからなんでそういう基本的なことをいまになって聞くのよ……』ってリボンちゃんが頭を抱えてしゃがみこんじゃいました。

 ごめんなさいです。だっていま気になったんですよ。

 リボンちゃんはソキが寝てる時に一緒に寝てるって言ってたです……でも、夜とか、いつ起きてもリボンちゃん起きてます。

 妖精さんはあんまり眠らなくてもいいんでしたっけ……?

 そんなことなかった気がします。

 リボンちゃん、休まないとダメですよ。


 『全世界でアンタにだけはそんなこと言われたくなかった!』ってリボンちゃんが怒りました。

 ソキ、ちゃんと休んでますよ。今日だってお昼寝、したでしょう?

 いまも休んでます。


 ……リボンちゃんが嫌がらせしてくるです。

 やめてください。髪の毛あみあみしないでください。やです、やです。やです。

 ソキの髪の毛、あむと、ほどくとき、くしゅくしゅになるですよ!

 リボンちゃん、いじわるです。


 なんだかたくさん書きました。

 休憩終わりです。



 ソキの旅日記 十六日目

 お昼寝は、もしかしてすごいのかも知れないです。

 ソキ、今日は一回も立てなくなることなかったですよ!

 リボンちゃんは『寝ると恒常魔術の働きがよくなるから、疲労回復がとんでもなく早いのよ』って言ってました。

 恒常魔術、ソキ、覚えがないのですが……。

 おにいちゃんがなにかしてくれたですか? 今度会ったら聞いて……そういえば、この指輪はなんでしょう。

 きれいな金の、飾りも、文字も、なにもない、ほんとうにまあるいだけの指輪です。ふたつ。

 魔術具? お守りです? 特別なもの、しか教えてくれませんでした。

 リボンちゃんは知ってるですか?

 リボンちゃん、お砂に呪詛書いて遊んでるので、聞いてみるですよ。


 リボンちゃんが怯えた顔して『よく見ないと分からないレベルまで魔力が封じ込まれた魔術具とかやだやだやだなにそれやだ怖い』って言ってます。

 怖いものですか……?

 『ところで、あの黒魔術師とアンタの関係ってなに』って言われました。

 『そんな、買えない価値レベルの魔術具を二つもほいほいくれるとか、ありえない!』って怒ってます。リボンちゃん、怒りんぼさんですよね。

 やめてください髪の毛ひっぱっちゃやですー!


 リボンちゃんは最近、ソキの髪ひっぱるのが好きみたいで困りますです。


 おにいちゃんは、ソキの、たぶん、血の繋がってないおにいちゃんです。

 捨てられたりしていた、顔や声がきれいな赤ちゃんだけを引き取って、育てることも、ソキの家はしていました。

 ソキが四歳か、五歳になるときくらいに、どこかへ嫁いで行きました。

 ソキが九歳の時、おにいちゃんは、事故に巻き込まれたと、聞いていました。

 死んでしまったと、聞いていたです。


 嘘だったです。

 ソキ嬉しいです。とっても、とっても、うれしいんですよ!


 ……血が繋がってないのがたぶんなのは、ソキにも、おにいちゃんにも、それが分からないからです。

 でも、ソキは、本当のお兄さまより、ずっとずっと、好きでした。


 さあ、休憩は終わりです。歩きます。

 明日にはお家のあるオアシスにつけそうです。




 ソキの旅日記 十七日目(昼)

 お昼寝して、すこし歩いて、夕方なので休憩です。

 今日はなんだか、時間が経つのが早い気がしますです。

 わくわくします。もうすぐです。もうすこしです。

 もう、遠く遠くに、オアシスの影が見えるですよ。

 陽がくれたらすぐ歩きます。夜にはお家ですよ!

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