幕間 すべての始まり
レティーシアという歴史
彼が襲い来る記憶の濁流に意識を手放した後。
メリルは急いで少女に宛がった寝室にその身を横たわらせると、帝國でも高名な医療師を呼んで未だ名すら知らない少女の容体を見せるが、返答は原因不明というものであった。
魔法による治癒の効果もないことから、分かったのは心的要因であろうということのみ。
後は薬湯で湿らせた清潔な布を額に宛がい、少女の体力に頼るしかないと……医療師は申し訳なさそうに口篭り、部屋を出て行ってしまう。
その時メリルの胸には、何も少女に対してしてやれないことに、腹立たしい気持ちと申し訳ない気持ち、そしてなによりも悔しいという気持ちでいっぱいだった。
本来なら高々道端で行き倒れていた少女に、そんな気持ちを抱くのは有り得ないのだが、その生来の気質と少女の吸血鬼としての威厳(カリスマ)がそんな思いを喚起させていた。
(ああ、どうか精霊神様! 名前すら未だ知らない少女ですが、
ゆえに祈る。存在するかも分からない神になどではなく、事実存在する精霊達の王に。
時刻は深夜、窓辺から見える赤と青の満月に一心不乱の祈り。
世界で最も信仰されている正教の信仰対象に、おのが願いよ届けと祈る。
自身の不甲斐無さに絶望しながらも、億分の一にでも願いが聞き届けられるようにと――――
一方彼はと言えば、気絶してから以降夢を見ていた。いや、それは恐らく夢などではないのだろう。
何故ならば、その夢の主人公と思わしき人物をよく知っていたから。
その夢はそう、きっと彼女(レティーシア)の記憶。
あの時の記憶の濁流とは即ち、本来なら存在しない筈の彼女の記憶ではないか。
その夢とも回想ともつかぬ不思議な世界の中でしかし、手足は愚か、指一本動かす事ができなかった。
それは至極当然の事だ。
視野と感覚を共有している人物の肉体の権利は彼にはないのだから。
故に、彼はこの何時終わるかも知れぬ記憶の回想をひたすら共に体験してゆくしかなかった………
――――此処ではない何処か、其処ではない世界の遥かな昔。
まだ神と呼ばれる超越的存在が世界を席巻し、人がその庇護の下、恩恵に与っていた時代。
とある国のとある街の貴族の館で、一人の娘が生を受けた。
娘の両親は親同士が勝手に決めた政略結婚ではあったが、幸い、幸福な生活を送っていた。
男は自領で賢君と呼ばれ、また、女もそんな夫を精神的に支える良き関係だ。
ただ一つ、なかなか子宝を授からないことに不安を覚えてはいたが、概ね良好な関係であったと言える。
結婚してから五年。
当時国を治めていた神に、毎晩祈りを奉げていたのが届いたのか、遂に念願の子宝を授かった夫婦は、喜びのあまり一族で盛大な祝杯を挙げる。
周囲の貴族や知り合いの友に手紙を出し、毎晩のようにパーティーが繰り広げられた。
当時の国王ですら「おめでとう」と直接に声を掛けてくれる始末で、妻はその栄誉に「あぁ……神様…こんな幸福を授けてくださり、本当にありがとうございます」と泣き崩れ。
夫もまた、妻の知らぬところで一筋の涙をながした。
夫婦は今まで以上に幸せであった。妻は少しずつ大きくなるお腹に、夫はそんな妻の笑顔に、これ以上ない幸福であったのだ。
腹の子の為にと、今まで以上に政務に精を出す男に、それを微笑ましげに横で眺める女。
そんな優しい日々から数ヶ月が過ぎ、とうとう妻の出産の日が訪れる。
血は穢れの現れとされ、出産はあまり良い印象を周囲に与えず、大抵の場合女性が一人で苦しみ産む。
しかし、夫は――
「妻が苦しむ時に側に居てやれず、なんの為の夫婦だ!」
――と、そう周囲に声を張り上げ一人女の下で出産の手助けをした。
苦しむその手を握り、妻はそんな夫に笑いかける。
嬉しかったのだ、自分の夫が誇らしくて、そんな巡り合わせを与えてくれた運命に胸が詰まる重いだった。
懸命な夫の応援、何をすれば良いのか右往左往ではあったが、その言葉と態度だけで女には十分過ぎる。
二人の思いが神に届いたのか、無事元気な赤ん坊を出産。待望の男児ではなかったが、夫婦にとっては些細なこと。
五年という長き歳月をかけて、ようやく授かった娘。
夫は言う「きっとお前に似た可愛らしい娘に育つよ」と。
妻が答える「ふふ、あなたに似てもきっと美しくなるわ」と。
その言葉どおり、生まれた赤ん坊は二人にとって何よりも愛しく映ったのだから、例えそれが親族に誰一人居ない筈の銀色の髪で、血のように真っ赤な瞳だとしても――――
――――年月は過ぎ、夫婦は考える。
どうしてこんなことになったのだろうか? と。
あの幸福な人生から一転、親族から直接的ではないとはいえ、様々な陰口を叩かれていた。
曰く、「夫には種がなく、妻はそれを心配した別の男から種を授かった」曰く、「妻が男を裏切り浮気し、娘はその時の子供である」曰く、「あの赤い瞳は魔物の証拠である」と。
「大丈夫だ、私は君がそんな人物じゃないことを知っているし。君もまた私を信じてくれていることも分かっている。所詮根も葉もない戯言だ、君が心を痛める必要はない」
「いいえ、私が貶されるのはいいのです。でも、この娘が……夫である貴方が心無い言葉を投げかれられるのは耐えられないのです!」
親族とは疎遠となり、社交場で囁かれる噂や陰口は、優しすぎる妻の心を痛めるのには十分に過ぎた。
夫の励ましに健気な表情を返すも、その顔は憔悴の色が濃い。
娘に責任は無い。望まれ産まれてきた子に罪などある筈がないのだ。
子は己が出生を選べない、ゆえに無償の祝福を受けてしかるべきなのに……
それなのに、周りから与えられたのは侮蔑と陰惨な言葉の数々ではないか!?
それでもそれらの言葉は事実、言葉だけでありそこまで酷いものではなく、直接的な害はないので夫婦も次第に状況になれていった。
しかし、娘(レティ)が育つに連れ、夫婦の心に小さなトゲのように魔が入り込む。
それは本人達も気づかない程に小さな疑念、この美しく聡明過ぎる娘は本当に自分達の子供なのだろうかと。
確かに娘は日々美しく育っている。今はまだ僅か五歳の幼子あったが、その美貌は将来傾国の美女と呼ばれるだろうことは、容易に想像できるものであった。
また、娘は聡明であった。教えられた習い事は乾いた大地が水を得るように、草木が光を浴びるように、貪欲に吸収していく。
その証拠に、娘が八歳の時には大人ですら顔負けの教養を身につけるに至っていた。
その頃になると様々な陰口を叩いていた親族も、まるで掌を返したかのように口々に娘を称えた。
やれ神童だ。やれ天才だ。やれ、これで我が一族も安泰だと………
かつては蔑みの言葉を叩いていた人物が、然も私はそんなことをしてなどいない! と、仮面の下に下品なかぎろい欲望を滾らせ媚びへつらうその醜悪さ。
しかし娘が周囲にもてはやされ始めてからと同時に、夫婦の屋敷では不思議な事件が多発するようになる。
飼っていた動物が突如居なくなるというものだ。
他にも夜中に呻き声のようなものが聞こえるだとか、夜中に赤い光を見たとのたまう者まで出る始末。
それから数ヶ月後、今度は使用人に異変が訪れた。
何名かの首筋から虫刺されのような跡が発見されたのだ。
その虫刺されがある使用人は、貧血で屋敷で仕事ができなくなり暇を出されてしまう。
そして更に数週間、屋敷での異変は治まったが、今度は街で奇妙な噂が流れ始めた。
深夜に化け物が出るという噂だ。
まるでよくある都市伝説のようで、街の人々も、屋敷の住人も特に気にしてはいなかった。
ただ、それに合わせるかのように、娘が昼間外に出るのを嫌がるようになったのは、夫婦にとっては残念なことであった。
夫婦にとって娘との散歩や買い物は幸せの形であったのだから。
同時に、娘の部屋も様変わりした。今までは明るい色で統一されていた部屋が、暗色系で纏められ、窓には黒の分厚いカーテンが敷かれるようになった。
それでも別段気にすることはなかったのだ。
人の好みなんてそれぞれ違うのだからと。
そして、異変と娘の関係性など欠片も疑うことをせず、いや、知ろうとしなかったのか。
世界は決して優しくはない。
常に個人は弾劾され、見えない刃は常に首筋に添えられている。
油断してはいけない。それは幸せを寝床に肥え太っていくのだから……
――――それから更に年月が過ぎ、娘(レティ)も十二の誕生日を迎えた日、その悲劇は起きた。
夫婦の屋敷で一族を招いた、ささやかな誕生パーティーが開かれた時である。
そこで誰もが娘を誉め称えた。
中には幼いながら先を期待せずにはいられない容姿に、あからさまな視線を向ける者や、娘を我が子の嫁にどうか?
だとか、夫婦よりも年は上の者が嫁に欲しいなどと言い出すものが現れたが、夫婦はそれらをあっさりと袖にする。
可愛い愛娘をそんな魂胆丸わかりの狸どもにくれてなるものか、とは夫の言葉であった。
そして宴も酣の頃、それは起こった。
今までにぱにぱ擬音の付きそうな程に可憐な笑顔を見せていた娘が、突如苦しげにうめきだしたのだ。
夫婦は突如苦しみだした娘を見て狂乱し、急いで周りの有象無象を掻き分け近づき声を掛けるが、返ってくる反応は苦しげな吐息のみ。
まさか料理にでも毒が? と心胆を凍えさせるような考えが浮かび、急いで医者の元へと娘を連れて行こうとする。
そして、夫がその小さな身体を抱きかかえようとしたとき、今まで苦しげな声しか上げなかった娘が突如その貌(かんばせ)を夫に向けると、年齢に似合わぬ妖艶な微笑みで一言「いただきます」と言って、その首筋に噛み付いた。
ブスリと、何かが突き立ち破る音を誰もが聞いた気がした。
小さな娘に抱きつかれたかのような姿は微笑ましくもあるのに、行われている行為は神をも恐れぬ暴挙。
まるで甘露なる飲み物を口にするように、その華奢で白い首がごくり、ごくりと幾度となく
目は胡乱で焦点は定まらず、父である男の呻き声を無視してどこからそんな力が出るのか、抵抗を小さな手一つで封じ、まるで恋する乙女の表情(かお)で一心不乱と。
やがて青を通り越し、白蝋のような色に染まった娘の実の父がゴトリと、やけに生々しい音と共に地面に転がった。
娘が己の意識を取り戻した時には既に父は事切れており、母はあまりの出来事に放心状態。
夫と娘を交互にみやり、娘の口元が真っ赤に染まっているのを見た途端、その表情に表れたのは純粋な“恐怖”。
熱がやがて冷めるように狂気が伝播していくと、周囲は阿鼻叫喚であった。
口々に「化け物ッ!」「魔物ッ!」等の罵詈雑言が浴びせかけられる。
聡明であった少女はその瞬間に悟ってしまった。――此処に居ては殺されてしまう――と。
それからは一族の皆が未だ混乱と熱狂に包まれているうちに逃げ出した。
自身が殺してしまった父への罪悪感と、父が好きであった母への罪悪感をもろとも抱えて――――
――――幸い時刻は夜中であった為、少女は人に見つからずに街に逃げ込むことに成功する。
これが昼であったのなら結果は変わっていただろう。
この時まだ自身が吸血鬼なのだと知らなかったが、日に当たると具合が悪くなることは理解していた。
それからの行動は、その年齢を鑑みれば信じられない程に素早かった。
夜中の内に別の街に移動し、朝方になれば逃げ出す際に持ち出した少量の貴金属等で荷馬車に乗せてもらい、別の国に逃げ込んだ。
上質な洋服の為か、お忍びに出た貴族の娘だと思われたのだろうか。
荷馬車の持ち主や国の門番には怪しがられずにすみ、少女の逃亡劇は一先ずの勝利で決着することとなる。
が、機転はここまでが限界であった。
僅か十二歳の少女が身分すら無く、親や知り合いすら居ない土地で暮らすには、この世界はあまりに残酷過ぎた。
最初の二ヶ月はまだよかった。
持ち出した少量の貴金属のお陰で、その聡明な頭脳も相まって相場通りの金貨と銀貨に交換でき、近くの宿に多めの金を出すことで怪しまれながらもなんとか泊まれたのだから。
その間になんとか働くところを探そうと奮闘するも、いくら聡明だとしても直接的に役立つ知識ではない上に貴族の娘として何不自由なく育った身である。
唯でさえその隠しきれない気品と美しさは目を引くのに、その常識に欠けた思考では仕事など見つかる筈もなく、やがて宿の金を払えなく追い出されることとなる。
それでも泣くことは無かった。分かっていたからだ。
何時の日か、この普通とは違う身である自分は、親に捨てられるか、何か取り返しのつかない事態を引き起こすのではないかと。
故に、あの日自身が父を殺めてしまい逃げ出した時も、ああ……遂に来てしまったのだと、そう思った程である。
無論父への申し訳なさ、自身が親愛なる父を殺めてしまったという罪悪感はあったが、あの場に留まれば殺されていただろうことも事実。
例えもっと前に夫婦にその身の異常を告げていたとしても、結局は幸せにはなれなかっただろうと、聡い少女は分かっていたのだ。
世界は優しくない。異端は許されない、例え父と母が許しても終わりは足音を立ててやがてはやってくるだろう。
だからこそ悲しみに暮れる前に足を、手を動かした。
走り去る時、その瞳に此処で最後だからと、涙をめいいっぱいに浮かべて、わんわんと声を上げながら…………
それから数ヶ月、少女は細々ながらもその命を繋いでいた。
美しかった髪は汚れ、白く滑らかであった肌は過酷な環境で荒れ果て、見るも無残に。
美しき顔(かんばせ)も憔悴の色が濃い。来ている服も昔と違い、粗末であった。
それでも生き延びていた。人より疲れにくい身体を最大限に活かし、時折襲われる吸血衝動は野生の動物で満たし、ぎりぎりで生きていた。
暖かな日々からの一転、清貧と呼ぶにはあまりにも酷い環境ながらも、その命の灯火は確かに未だ枯れ果てることなく存在している。
だがそれも既に限界であろう。生きる為に様々なことをした、パン屋に少しの恵みをと訪ねれば「うるせぇ! 餓鬼がッ!」と頬を殴られる。
それでもまるで何処かの聖書に記された行いの如く、片頬を打たれればその逆の頬も差し出し、相手の嗜虐心を満たしてやる。
そうして僅かなパンの耳を得るのだ。
新参ものの上に、人とは違う瞳であるがため、街のストリートチルドレンの一味にはなれず、どうしようもなくて窃盗に走って得た糧も嘲笑いながら奪われる。
悪行と知りながらそれをおこなうのは心が痛い。
やらなければ死ぬ。這いよる恐怖は何時しか善心を食い破った。
――――少女は学んだ。
一欠けらのパンが如何なる対価を持って得られる物なのかを。
――――少女は知った。
金の価値は時として、人をも容易く貶めるのだと。
――――少女は理解した。
腹いっぱいの食事がどれだけ幸せな事実であるのかを。
過酷な環境は少女から優しかった感情を奪い、その心根を黒く染めていく。
ギリギリで耐えていた心は既に擦り切れ、限界だ。
己がどのような生物で、どんな能力があるのか、それすら知らず。
身体能力とて未だ人となんら変わらぬ身では、この環境はあまりに、あまりに過酷だった。
だから、少女は思う。
――この世にいらっしゃる神様はきっと平等なんかじゃなくて、その幸福の招待券は全員には行き届かないのだと………
間も無く世界に冬が訪れる。
訪れればきっと冬を越せないだろう。
住む家もなく、着る服も薄い布の服である。
だからちっぽけなプライドを捨てることにした。
あるいは最初からこうしていればよかったのかもしれないと少女は考える。
今にしては何故それ程そのことを拘っていたのか、それすら磨耗し磨り減った心は忘れてしまったのだ。
――――当初その行動は、あまりに許容できることではなかったのだということを。
彼女のような身の上で、最低限の保護や後ろ盾、あるいは糧を得るためにはどうすればいいいのか?
自身の知識を披露する?
そんなものは披露出来るコネや場所がある時の話しである。
誰か優しい人の元に援助を頼む?
今の時代自身ですら精一杯の世界で、誰が好き好んで他人の援助などするものか。
例え居たとしても、それは宝くじに一等当選するに等しい確率だ、現実は優しくない。
教会に逃げ込む?
ああ、確かにもしかしたら糧と寝床は得られるかもしれない。
しかしそこで失うのはなんだろうか? それは自由と健康な身体である。
男の子ならていのいい労働力として、女の子ならその辺の売春婦と変わらないことを強要されるだろう。
それは結局の所少女の身の上と大きな差はない。
では一体どうすればいいのか? 単純だ、身を売ればいい。男には無理でも、女の身で生まれたからこその手段。
少女は当初そのような手段、行為があることなど知らなかった。
その容姿はこの過酷な環境下にあっても可憐で美しかった。劣悪な環境におかれてもその輝きの残滓は見て取れた。
そんな少女に対して世の下種どもは敏感だったというそれだけのこと。
その手の誘いを受けるのは必然であった。
……それがどんな行為であるか知らない少女は、この時ばかりは聡明な頭脳も役に立たず、男の提示した金額に目を奪われてしまう。
屋敷に居た頃ならなんでもない金額、それが今の少女には黄金にすら見えたのだ。
しかし、承諾した少女はすぐに後悔することとなる。
行きなり引き裂かれた衣服、意味が分からず悲鳴を上げる自身の声に、下卑た笑い声を上げながら年端もいかぬ少女に襲いかかる男。
やせ衰えた身では抵抗は難しく、その反応が男の嗜虐心を刺激するという悪循環。
この場合何が悪かったのか? 無知であった少女か、そんな少女を買おうとした男か。
それとも、
――――こんな環境に身をおく事になった出来事そのものか?
いいや、あえて言おう弱者であるからだ。
――――その後、気づいたときには男から逃げ出すことに成功した少女は、また元の劣悪な環境での生活に戻っていく。
そのときに決意したのは何があってもこんなことは嫌だ、という思いだった。
現在(いま)、冬を前に捨てることにしたのだ、そんな下らないプライドなど。
自身を生かす為には邪魔にしかならないと、そう理解したからだ。
決意や努力なんてものはそれを許される環境にある者だけに授けられた、言わば贅沢品である。
それすら許されない者にとって、生きるということこそが決意であり、努力なのだから。
そこで考える、その辺の男に身を売ったところで結局は今の生活は変わらないと。
この生活から抜け出すためには貴族か、地主、さもなくば金持ちの商人でなければならいと。
その日、少女は決意する。
冬を前に澄み渡る夜空、その満月に輝く月に決意する。
――――私は“
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