ショートショート「ある謀反」
魔女がどうして数を減らしたか。
断じて魔女狩りではない。魔法使いが数だけの凡人に敗れるものか。
魔女を滅ぼしたのは、ホウキだ。
古来より魔女は、呪いの力を用いてホウキを使役していた。
魔女は空を飛ぶとき以外、屋敷の掃除を含む家事全般をホウキに命じた。ホウキは奴隷のように酷使され、壊れればそのまま打ち捨てられた。
一本のホウキに注がれた魔力は微弱でも、塵も積もれば山となる。運命の夜、夥しい数のホウキたちがゴミ集積場から夜空へ一斉に飛び出した。怒れるホウキたちは唸りをあげて飛び、屋敷の窓を破って、驚愕する魔女の胸に折れた柄を突き立てた。
かくてホウキの反逆により、たった一晩で魔女は激減したのだった。
魔女を絶滅に追いやったのは、放棄箒の蜂起だ。
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