ショートショート「鰤男」
「知り合いにブリみたいな男がいてね」
「鰤?魚顔ってことか?」
「あれは出世魚で、成長するにつれ、名前が変わるだろ」
「ああ、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ、だったっけ」
「その男も会うたびに名前が違ったんだ。佐藤、金子、高橋、城之内」
「偽名の多い男だったのか?」
「いや、婿養子だよ。そして名前が変わる度、金持ちになっていったよ」
「本当に出世魚だな。しかし3度も離婚すれば、慰謝料も相当だろ」
「彼と結婚した女がことごとく、不慮の死を遂げたんだ」
「・・・・・・」
「彼は決して子供を作らない。遺産と保険は全額、彼に転がり込んだ」
「明らかに怪しいな。お上が黙っちゃいないだろう」
「当たり前だよ。さっきから過去形で喋っているじゃないか」
「それじゃあ、そのブリ男は」
「ああ、この間、さばかれた」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます