「ブタ子」と呼ばれていじめを受けていた一人の少女が、学校で飼育されていた「ブタさん」との不思議な交流を通して大きく人生を変えていく、感動の成長物語です。
クラスで強い立場にある女子生徒のいじめの標的となった主人公は、物語の前半に心を抉られるような悲惨ないじめを経験しています。両親にも教師にもいじめを告発できず、一人耐え続ける彼女の唯一の拠り所が、学校の飼育小屋で飼われている動物たちのお世話でした。
そんな彼女はあるとき道を尋ねられたことがきっかけで、素性のわからない「イケメンさん」と交流を重ねることになります。
彼からの励ましや二人だけの楽しい時間を得る中で、彼女は自分の夢を見つけ、それに向かって努力することを知ります。彼女の内面が変わったとき、彼女の周囲の状況も少しずつ変わっていくのでした。
自分の心の変化、周囲の変化を通して、彼女はしっかりと前を見据える女性として成長していきます。そこには「恩返し」によって得られた幸福感と絶望とをお互いに乗り越えた二「人」の絆が常に存在していました。
彼らの絆の深さを通して語られる一人の少女の成長に、少し切なくも爽やかで温かい読後感を得られます。