若い引っ越し作業員に気を配る

息子が仕事の関係で、大阪で一人暮らしを始める事になりました。


一人の引っ越しですので小型のトラックです。

その車は、午前中に一件の引っ越しを終えてから、午後こちらに向かう予定です。


午後3時に到着したと息子に連絡があり、作業員さんに会うため階下に降りていきました。そして戻って来るなり「あいつら、全然やる気がない!」とえらく憤慨。


何事?と事情を聞くと、二人来た一人が、聞こえよがしに、ため息をついたようです。


午前中の力仕事の疲れから思わず出たのでしょう。


ましてこれから五階からエレベーター無しで荷物を下ろすのですから、想像にかたくありません。

若いので回りの人への配慮に気が回らない。


このままだと、若い者同士、かたくなに心がぶつかります。


そんな時こそ、歳を重ねた私に出来ることがあります。

何より、気分良く働いて貰うのが一番!

息子の初めての引っ越しを、後味の悪いものにはしたくないものです。


息子の見ていない所で

「これでお茶でも飲んで下さい。」と作業員さん二人に心付けを渡します。


更に「エレベーターが無くて階段でしか荷物を下ろせなくてごめんなさい。」

と、一言伝えますと、

さすがに「いえ、いえ」と一言、笑みと共に返してくれます。


最初作業員さん二人で荷物を運んでいましたが、なかなか、はかどりません。


息子は「金払ってるんだから手伝うこと無い!」とまだ怒って、傍らで眺めているだけ。


作業員さんにしてみれば、働くそばで座ってボンヤリされていれば、気分の良いものではないでしょう。


暫く私は気をもんでいました。

しかしさすがに息子も

「このままじゃ、晩までに終われない」

と思ってか、荷物運びを手伝いだしました。


それからは、作業員さんのスピードも心なしか速くなったような?


新しい住まいへの引っ越しも終えて、組み立て式の家具を息子が作りかけると、それに作業員さんが気付いて、電動ドライバーで組み立ててくれたそうです。


思わぬ嬉しい事でした。

その時、“心付けと言葉掛け”

をしたことを息子に伝えました。


その効果は少なからずあったと気が付いてくれたでしょうか。


人は、感情の無い機械の様に働けるものではありません。

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