娘に伝えたい女紋
三十数年前、私が結婚する時、母から、女紋を入れた留袖、袱紗、風呂敷を持たされました。
古い新聞の切り抜き(朝日新聞、平成19年12月11日)によると、『家の代表的な紋とは別に、女性だけが使う紋がある。…京都、大阪の近畿地方から広島、愛媛の中四国地方の瀬戸内海沿岸に集中している。…』とあります。
まさに両親は、広島と愛媛に、はさまれた瀬戸内の小島の出身です。
母は祖母から、この風習を受け継いだのでしょう。
ただ、私の紋は母系紋ではありません。父方の親族は私達姉妹を含め、女性ばかりが生まれました。
早くに他界した父を思いやって、母は父方の紋を、女紋として私に渡しました。
男子だけが受け継ぐ遺伝子のY染色体が途絶えた。…という事は分からなくても、それとなく感じるものがあるのでしょう。
留袖は十分活躍しました。
袱紗や風呂敷は生地が絹の上、使用する機会が全く無く、きれいに残っています。娘達に渡したいと思いますが、私の名が染め抜いてあるので、どうしたものかと、先送りにしています。
新たに名前を入れずに作れば伝えていけるでしょうが…、多分使う事は無いでしょう。
それでも女紋は“ひっそり”と、でも“しっかり”と残したいとも思うのです。
立派な家どころか団地住まいなのですが…。
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