子供の名付け

わたしが若い頃に勤めていた会社でのことです。


40歳代の女性の方が、子供の名付けについて語った言葉が、強く印象に残っています。

「財産など残せない私達が、唯一子供に残せるものは、良い運を招く名前しかない。一生ついて回るものですからね。ですから神社で名前をつけてもらいました。」

これを聞いて、私もそうしよう、と決心!?したものでした。


もっともその時は、まだ交際している人もいなかったのですが。


結婚して、実際その通り実行しました。


しかし女の子は結婚して名前が変わるので、どんなものだろう!?という疑問がありましたので伺うと

すかさず「良い名前は良い結婚相手へと導いてくれます。」と言われて納得しました。


安くない名付け料は伊達じゃない。実感しています。

名前にこだわるゆえ、そう感じて、自分を納得させているかもしれません。


生きていくなかで、自分で抗しきれない、見えない力に左右される時があります。

その時、運が作用していると思えるのです。


子供が結婚して、これまでの彼女達の人生を振り返ってこそ感じることです。


長女、次女、長男の三人います。

特に次女には、生来、顔に茶色のアザがありました。


小学校では、「ウンチがついてる」と言われる事もあり心配しましたが、彼女は気が強いので、怒ってツンツンしていた様です。


気散じでおしゃべりな性格が幸いしたのか、友達も作る事が出来、登校拒否もなく、ほんとに安堵したものです。


生まれてすぐレーザー治療を始め、今では随分薄くなりファンデーションで、隠れます。


息子は大学生になると、大型バイクの免許を取得し大きな中古バイクをローンで買ってアルバイトで返済していました。

親には事後承諾のみ。親の気持ちなどどこ吹く風です。

友人と遠出して楽しんでいました。


スピード違反や一旦停止違反で罰金を何度も払っていました。


また、信号停止で隣のベンツのサイドミラーにバイクが当たり、怖そうなお兄さんが降りて来て震え上がったと言います。ただひたすら頭を下げます。傷が見当たらず許して貰えました。


肝を冷やす事ばかりで、そのうち警察から事故の電話が掛かるかもしれない、と毎日気が気ではありませんでした。


息子も多少痛い目にあって学習したのでしょう。

卒業して就職すると、すっかり落ち着いて車は安全運転です。


一方で、ご近所の女性も車の運転をされます。「信号待ちで追突され軽いむちうち症になった。いくら自分が注意していても、向こうから事故がやって来るのはどうしようもない。」と嘆いていました。


こんなことを聞くと、車を運転するには運の良さもいる、と思えます。


時は過ぎ、今度は彼女達が子供に名前をつける世代になりました。

過去の運の良かったことを彼女達に伝え、名付けを専門家に依頼する事を、強く勧めましたが、にべもなく断られます。


いまでは、運の良い名付けもインターネットというツールが支えのひとつになりそうです。


鰯の頭も信心から?

私もそのひとりです。

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