289区 【桂水高校駅伝部 親族関係】

【湯川 翔太】ゆかわ しょうた

★登場回 102区~103区★


麻子の4つ上の兄。


中高とサッカー部に所属。ポジションはDF。高校は工業高校の機械科。高校卒業後、大阪の大手製造業に就職。ある年の年末年始の休みに実家に帰って来たところを久美子に捕まる……。正直、この2人の主導権を握っていたのは終始久美子であった。番号を交換、そこからほぼ毎日のように連絡。告白、お付き合い開始。久美子が大阪の専門学校に進学し、同棲開始。婚約、結婚。2人して転職しての広島での生活。これらはすべて久美子から起こした行動である。


一度、湯川翔太が久美子に「自分の何に惚れたのか」を聞いてみたところ、初めて会った瞬間、「あ、この人は1人では何もできそうにない」と思ったのと同時に惚れていたとのこと。


ちなみに、娘の一言で大騒動になった時は、久美子を全力でなだめつつ、麻子にも必死で説得を試みていた。


【湯川 健太】ゆかわ けんた

★登場回 101区~102区★


麻子の5つ下の弟。初登場時は小学5年生。つまり永野恵那とは同学年。でも、2人が実際に会うことは未来においても一度もない。


ただ、オリンピックなどでの活躍がテレビなどで流れると、「同じ山口県出身で同い年の人が活躍しているってすごいなあ」と健太が思うことは多々あったようである。

 そんな湯川健太も小学生の時から野球をしており、中学はリトルリーグで活躍。高校は推薦で関東の野球強豪校へ。強豪校の中でも1年の秋からレギュラーで7番レフトを勝ち取る。残念ながら甲子園には後一歩のところで出場できなかったが、大学・社会人野球と、それなりに名前の知れた選手となる。社会人野球を引退後は社業に専念。


ちなみに、兄とは9つも歳が離れており、小さい頃は麻子と仲が良かった。麻子もそれが分かっていたせいか、常に全力で弟と遊んでいたようである。


それと、麻子達の父親は野球を、母親はバスケをそれぞれ小中高大学までやっており、バリバリのスポーツ一家である。父親の教育方針が「頭を使うよりまずは体を動かせ」というのもその影響である。


【湯川 彗】ゆかわ すい

★登場回 285区★


麻子の兄と久美子の娘。


麻子から見て姪にあたる。麻子自身に姉妹がおらず、子供も男の子2人だったので、親ばかならぬ叔母ばかレベルで可愛がったせいで、すっかり麻子に懐いてしまう。

わりと娘の教育に厳しかった久美子のせいで、ある日久美子に怒られた時に、「麻子おばちゃんの家の子供になりたい」と訴えてしまう。何気ない子供の一言だったが、色々なことが絡み合い、結果として麻子、久美子、葵、聖香、紗耶、由香里さんをも巻き込んだ大騒動に発展してしまう。


「駅伝部と言う強い結束力がなかったら、多分人間関係が跡形も残らずすべて崩壊していましたね」とは、すべてが解決した後に一部始終を聞いたアリスの談である。


【藤木 亜耶】ふじき あや

★初登場回 33区★


藤木紗耶の双子の姉。見た目は、あまり面識のない人は全く見わけがつかないレベルでそっくり。自分達でもそれを分かっており、入れ替わってはいたずらをすることも何度となくあった。だが、2人の両親はきちんと区別がつくので親は偉大である。

両親も2人を比べたりせず育てたので、姉妹の趣味趣向は全く違う。亜耶は運動することが嫌いで、毎日走る紗耶をみて若干引き気味……。でも、家では毎日お互いのことを喋りあっている。


亜耶自身は中学で英会話部に入ったのをきっかけに英語の楽しさに目覚め、中学では市の制度を利用してカナダへ2週間のホームステイに参加している。なお、紗耶は「2週間も部活を休むなんて有り得ない」と、はなから全く興味をしめさなかった。高校は地元の英語科がある学校へと進む。高校卒業後は、イギリスに2年間留学し、帰国後はその語学力を生かして通訳や英会話教室で生計を立てる。紗耶も亜耶も自営業となったのを見て、両親は「あーやっぱり双子なんだな」と実感したとか。


また、父親が会社を経営しており、そのおかげで、実家がものすごく大きい。母親もその会社の従業員で、亜耶と紗耶の兄が跡を継いでいる。


高校3年生の時、紗耶が腰を壊してからは、亜耶が一番の理解者だった。ただ、そんな亜耶もまほさんには最初面くらってしまい、紗耶がまほさんを人生の師匠と言い出した時には、本気で不安になったとか……。そう言いつつも、まほさんが海外へと旅立つ際には亜耶が英語を教え、さらにはアリスにも引き合わせ、色々と手助けをしている。


【永野 恵那】ながの えな

★初登場回 42区★


作中では、他の登場人物に比べて年齢がやや下だったが、登場人物を各学年、年齢で比較すれば走力は彼女が作中でダントツのナンバー1である。


その事実を証明するがごとく、姉の永野綾子の影響で城華大付属に入学後、高校2年の時点で3000mの県記録を更新している。


なお、県高校記録は永野綾子→入来玲奈→住吉慶→若宮紘子→永野恵那と更新されている。


現役時代は世界選手権やオリンピックにも出場し、テレビなどにも多く出場したおかけで、陸上をやっていない人にも随分と名前が知られていた。


彼女は大学を卒業後、実業団に所属することなく、とある企業とスポンサー契約を結び、プロランナーとして活躍する。そのおかげで、駅伝やマラソンを一切走ることなく、トラックの5000mと10000mを専門種目とし世界のレースを転戦しながら活躍する。


36歳で引退し、その直後に、スポーツ番組へ出演した際、「レースで世界を転戦していたら、今までに、45か国ほど訪れていました」と発言したことがきっかけで、「永野恵那の世界ランニング巡り」と言う番組が企画される。内容としては、ある国の都市を永野恵那が訪れ、観光地だけでなく、地元の人しか知らないようなスポットなどをすべて走って見て回るという一時間番組である。元々の素質があったのか、それとも世界で戦ううちに身に付いたのか、永野恵那の喋りが面白く、かなりの人気番組となっていき、毎週水曜の夜8時からBSで放送され9年間も続く長寿番組となる。その番組の本やDVDも発売され、それなりの売れ行きだったようである。


なお、本人は指導者としての道にはまったく興味がなかったようで、たまに湧いてくる監督等の話は待遇条件を聞くことすらもせずにすべて断っていたようである。


【澤野 哲治】さわの てつはる

★初登場回 6区★


澤野聖香の父。


桂水市にある瀬戸内製鉄株式会社勤務。瀬戸内製鉄株式会社は、鉄鋼業界では日本でも5本の指に入る大手であり、その総務部経理課長というポジションに最年少で就任し、順調に出世街道を歩いている。それがゆえに、仕事をこなす能力も高く、私生活でも娘2人にとにかく厳しい父親である。


現在のマンションは澤野結依が小学校に上がる直前に購入したものであり、その前は会社の社宅に親子で住んでいた。


ちなみに、その社宅は市島瑛理の小学校区内にあり、もしもそのまま澤野家が社宅住まいだったのなら、澤野聖香と市島瑛理は小中学校の同級生となっていた。


その場合、澤野聖香が城華大付属の推薦が来た直後、親に断られたことを市島瑛理に話し、それに対して「さわのんと高校になっても一緒に走りたいんだけど!」と市島瑛理が熱望することで、澤野聖香の決心がつき、中学3年の冬には親と大喧嘩をして、城華大付属へ進むという世界線が続くこととなる。


その結果、澤野聖香達が2・3年の時に、1区住吉慶、2区澤野聖香、3区市島瑛理、4区山崎藍葉、5区若宮紘子のオーダーで都大路2連覇を果たす。


ただし、澤野聖香は永野綾子に出会うことはなく、結果として教員になりたいと言う夢も抱かず、3000mSCを走ることもなく、高校卒業後そのまま実業団へと進むこととなる。


なお、その世界での桂水高校女子駅伝部は、当然園村晴美が関わることはなく、湯川麻子1年時は、湯川麻子、藤木紗耶、大和葵、北原久美子の4名のみで同好会のまま。次の年は湯川麻子、藤木紗耶、大和葵、那須川朋恵の4人でスタートし、ブレロアリスが1月に入部し部へと昇格。大和葵と入れかわりで大和梓が「姉が作った部をまた同好会へと戻したくないんです」と入部してきて、湯川麻子が3年生の時についに初の県駅伝へ出場することとなる。その時のオーダーは、1区湯川麻子、2区大和梓、3区藤木紗耶、4区那須川朋恵、5区ブレロアリスであり、初出場で5位という成績を収めることとなる。


澤野聖香の父のことに話を戻すなら、娘2人への教育に力を入れるものの、勉強はきちんと出来るが、私生活の面がかなりめちゃくちゃだった澤野結依には随分と苦労させられたようである。


また、澤野聖香が高校入学直後、入部したい意思を強く示し親子喧嘩をした際、夜に夫婦2人になった時に、妻から相当きつくお灸をすえられている。


家族の前では、一家の大黒柱として奥さんが旦那を立てているが、夫婦は高校時代の部活の先輩後輩であり、奥さんの方が1つ先輩ということもあって、実は娘のいないところでは、旦那は奥さんにあまり頭が上がらないところがあったりもする。


【澤野 美香】さわの みか

★初登場回 2区★

澤野聖香の母親。


桂水市役所勤務。福祉健康系の部署で保健師をやっている。


旦那と出会ったのは、就職して3年目に当時の部活仲間で集まった時に、双方がやって来ていたから。高校時代は部活でそれなりに喋っていたが、連絡先を交換しておらず、この時会うまで、お互いが地元で就職していることも知らなかった。


ちなみに2人とも藤木紗耶と同じ笠戸市出身である。


旦那を立てつつ、子供が叱られた時などは上手くフォローに周り澤野家の精神的バランサーとして絶妙な立ちふるまいをしている。


子供のいない時は旦那に結構強気な発言をしているが、これは高校の時の先輩後輩のパワーバランスがそのまま家庭内に持ち込まれているせいでもある。


聖香が桂水高校女子駅伝部への入部をめぐって親子喧嘩をした際、しばらくして母親が澤野聖香の部屋に入ってきているが、その前に母親から父親に対して、耳元で非常にきつい言葉が囁かれている……。もちろん、父親も思うところがあったのも事実だが、母親にきつく言われたので、考えを改めたようである。また、中学時代に城華大付属への推薦拒否についてあまり母親が発言しなかったのは、彼女も高校へはスポーツ推薦ではなく、一般受験にて進学してほしいと思っていたからである。


ただ、受験で進学した上で本人が生まれて初めて父と意見を言うくらいに強い意志を示しているのだから、走られてあげたいと思ったようである。


なお、この母親をもってしても、澤野結依には手を焼いているようであり、「もう、ああいう性格なんだと割り切るしかない」と澤野結依が高校生になったころに考えを改めたようである。


【澤野 結衣】さわの ゆい

★初登場回 11区★


澤野聖香の姉で年齢は5歳上。


本人的には、きちんと理屈があり、意味があり、目的があって行動しているのだが、その理屈などが一般人の思考のはるか外側で組み立てられているため、誰も彼女の行動原理が理解できない。そのせいで、小学生の時は「奇人」、中学の時は「一般思考外生命体」、高校の時は「宇宙の法則を乱す者」、と陰で呼ばれていた。また、大学4年生で卒研室に配属され最初の一週間後で、試験管7本、ビーカー5つ、フラスコ3つ、電子天秤1つを壊してしまい「破壊神」と言うあだ名を付けられてしまう。


あまり普段の行動が理解されていないが、大学の卒研室では、彼女が妹思いであることは伝わっているようであり、他の卒研室メンバーが「澤野も一応人間なんだな」と大いに感心していた。


大学の博士課程卒業後は研究職として福岡市内の大手企業に入社。その会社でも「研究に魂を売った人間と言う言葉を具現化したのが澤野結依」と言われていたので、やはり生まれ持って身についていた行動原理は変わっていなかったようである。

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