第15話 始まりの翌日・後編

 特殊事象調査室の大村と西原が横須賀に到着していると思われる頃、北海道の苫小牧とまこまい港には護衛艦の”とさ”と、その向かい側に”ゆうだち”が係留されて、停泊している姿がある。

 他の護衛艦“いわみ”と”てるづき”、輸送艦“いわしろ”は、少し東へ離れた陸上自衛隊浜大樹訓練場へと向かって航行していて、エアクッション艇1号型のLCACエルキャック2107と2108によるビーチング訓練、それと同時に行われる陸自隊員の揚陸訓練を翌日に、地元の警察や消防等との連携訓練を翌々日に行う予定となっている。

 ビーチングとは船型の揚陸艇やホバークラフト型のLCACが、砂浜に乗り上げることである。

 揚陸艇は船であるから、当然の事ながら一定以上は乗り上げることは出来ない。

 しかし、LCACはホバークラフト型であるため、海上から固い地盤まで進み、そこで車両などを積み降ろす事が出来るため、迅速に部隊を展開することが可能となっている。

 そして、浜大樹訓練場へ航行中の輸送艦“いわしろ”では、翌々日のLCACでの訓練時に合わせて、陸自と海自の医官・衛生員、警察、消防、災害派遣医療チーム(通称:DMATディーマット)や近隣の救命救急病院の医師・看護師等との、巨大災害発生時(今回においてはM7クラスの巨大地震と、それに伴う津波災害を想定)における、災害時の連携を確認する訓練が予定されている。

 そして、本来であれば乗員達の休息日として1日分の予備日を設けていたのだが、航行中の特殊事象発生等が原因の遅延で予備日が無くなってしまった。

 それに伴って数日後に予定されていた釧路港での“いわみ”と”てるづき”の艦艇公開の予定も中止となってしまい、自衛隊帯広地方協力本部地本と帯広地本釧路出張所の広報等がその対応に追われることになった。


○北海道苫小牧市 苫小牧港 護衛艦とさ 科員寝室 1903i


 陸自の隊員達が上陸し、それまでとても賑やかだった雰囲気の”とさ”の艦内も静かになっていた。

 とはいえ、陸自隊員達が使用していた区画を整えるため、手の空いている者で清掃等をおこなったり、一部は厨房に夕食の片付けの手伝いに行ったりなど、完全に静かというわけでもない。

 そんな雰囲気の艦内で1人だけ、取り残されてしまった陸自隊員の姿が、扉近くの3段ベッド1番下にある。

「はぁ・・・ここで待機命令か・・・。この後の訓練っつうか、今後、どうなっちまうんだろ・・・」

 輸送艦”いわしろ”から移乗してきた浜山が、船酔いがぬけ切れていないような憂うつそうな青い顔で横になっている。

 慌ただしい中で浜山の荷物は、苫小牧港に入港前、作業艇“いわしろ01”によって本人の元へと届けられた。

 その際、”いわしろ”にいる浜山の上司より“とさ”での待機命令が伝言の形で伝達された。

 もちろん後々正式な形で、その後の予定と共に下令される事となっている。

 一方、浜山と同じ様に“とさ”へ移乗していた“いわしろ”船務士の長浦海里と同通信士の御船祥子は、その“いわしろ01”に乗って持ち場へと戻っていった。

「分からないって言うのが嫌だよなぁ。・・・それに特科隊長達が止めた情報を、俺みたいな下っ端に言っちゃうなんて、海幕や三条隊司令に高崎艦長、なにを考えてるんだろう・・・。分かんねえな・・・。」

 はっきりしない思考をしながら、手を頭に組み真上を見る。

 視界には、ベッド中段の裏板が天井の代わりに見えるだけで、そこから変化する事はない。

「護衛艦の艦魂の方々に81式達が皆に見える・・・。長浦3尉も、艦魂の方々以外は初めて見たって言ってたし・・・。そのお陰で、この先が分からなくなったし・・・。俺、このまま海自に異動・・・。って、こんな事あるわけ無いだろ!!止め止め!!ある訳ないし!!」

 首を左右に強くふると、さっきまで考えていた事を頭の片隅に追いやって、溜め息を長くつく。

(ただでさえ船に酔いやすいのに、ここで生活しろだなんて言われたら・・・。そう考えると、長浦3尉達はすげえなぁ。全く酔ってないように見えたもんな。・・・それに、幹候校の首席かぁ。・・・防大で海上要員になれたんだから、防大入学から相当な努力してたんだろうなぁ・・・)

 今現在は酔いはかなり軽くなってはいるが、まだ気になる状態ではある。

 そこまで船酔いが軽くなったために思考が回るようになったためか、長浦達の様子を思い出して考えを巡らせてしまう。

 そこで御船から聞いた長浦の事を、同時に思い出す。

 防大では入学すると、すぐに陸海空自に振り分けられると思われる方もいるかもしれないが、実際には2年次からで、それまで自分が3自のうちのどこに属する予定かも決定していない。

 海上・陸上・航空に所属を決定する際は、希望を出す事は出来るが、成績優秀者から希望が通っていくと言われている。

 各所属の生徒の事を防大では、海上(または陸上、若しくは航空)要員と呼ぶことになっているのだが、募集人員の多い陸上要員に比べ、海上・航空要員は隊員数も募集数も少ないため、必然的に狭き門となっている。

 逆に言うと、特に海上・航空要員になりたいのであれば、成績を上位にしておくことは“最低条件”である事はもはや言うまでもなく、暗黙の了解ですらもない程なのである。

(・・・それに引き替え・・・中学の時、視力落ちたの言い訳に、パイロット諦めて、苦手な英語の勉強止めちゃったし・・・なんで、あの時頑張らなかったんだろう・・・。せめて防大行ってたら違ったのかな?・・・それでも幹候校で首席かぁ・・・無理だよなぁ・・・長浦3尉と比べて・・・俺となんか・・・釣り合うわけ・・・)

 浜山は徐に、横になったまま背伸びすると、ベッドから出てきてストレッチを始める。

「おーい浜山!?今、大丈夫かい!?」

 突然区画の外から大声で呼びかけられ、驚いた浜山は慌てて返事しながら扉の方に向かうと、そこには夕立と土佐が立っていた。

 土佐は幹部の作業服と作業帽を着用し、夕立は同じ作業服姿で、”ゆうだち自身のスコドロキャップを左手で持っている。

 浜山は、この2人が自分の所へ訪れた理由が分からないまま、区画を一歩出ると10度の敬礼をし、答礼を待って質問する。

「夕立2佐に土佐3佐、どうされたんですか?何か御用でしょうか?」

 突然のことに戸惑いながら夕立に問いかけると、浜山の様子に気付いた夕立は、右手を後頭部にあてながら、笑って答える。

「ああ、ごめんごめん!大した用事じゃ無いんだ。ちょっと暇だったんで、こっちに遊びに来ただけ。“とさ”の艦長は関係ないからそんなに警戒すんなって。なぁ、土佐?」

「警戒なんてしてませんよ!戸惑っただけですから!」

 夕立から誤解された事に慌てて否定する浜山を見て、くすりと笑う土佐。

 そんな様子を見せる土佐を、横目で少し見てから、右手を今度は腰にあてる夕立。

 土佐もそんな夕立をちらりと見ると、すぐに浜山へ説明を始める。

「本当に艦長は関係ありませんのでご安心を。実はこれから海保一管より2名、民間のタグボートの方が3名来られる予定です。浜山3曹も、お暇であれば気晴らしにいかがかと、お誘いさせていただきました。」

「土佐3佐まで・・・。それで、お誘いは嬉しいのですが、本当に私が行ってよろしいのですか?艦魂の皆さんの集まりに、私が行ったらお邪魔になるのでは?」

 特にする事も無かった浜山ではあったが、だからといって他の船舶達の集まりに邪魔になってはいけないと思い、土佐と夕立に確認を入れる。

「あぁ、そんな事ないって。むしろ、滅多に聞けない陸自の話に興味持つはずだから、暇つぶしに持って来いだな。正直、私達も興味あるから聞きたいし。」

 興味津々の夕立に、土佐も肯いて同意を示す。

「確かに私も、皆さん方の話しには興味がありますから、お気持ちは分かります。けど、多分、あまり面白くないような気がしますよ?」

 と、謙遜する浜山に、夕立は「そういう判断は、彼女達にしてもらうから!」と、浜山の背中に回り込んで押し始め、土佐に向かって「行くよ!両舷前進強速キョウソー!赤黒無し!」と言って、駆け足を始める。

「はぁ・・・。了解しました。両舷前進強速、赤黒無しヨーソロー。」

 先に行ってしまった夕立の背中と、押されて慌てる浜山の声を聞きながら、ため息をついてから復唱し、駆け足でついていく。


○護衛艦とさ 第3艦内食堂 1918i


 厨房で4分隊の給養員達が、朝食の食材を下準備している音を聞きながら、夕立と浜山は席につく。

 土佐はと言うと用事でもあったのか、入ってすぐに厨房へと向かい、給養員長と何か話をしている。

 員長はそれを聞いてか、そばにいた2曹の須田に何事か指示すると、員長も冷蔵庫を開けて何かを探している。

 土佐は礼をすると、夕立と浜山の座るテーブルに向かって歩いてくる。

 座ろうと椅子を引いた瞬間動きを止め、後ろを振り向いてから、夕立達を見る。

「お客様がお見えになられたようです。迎えに行きますので、待っていて下さい。」

 そう言うと厨房へ戻り、員長達へ一声かけてから、足早に食堂から出て行く。

 数分後、海上保安庁の作業着を着た女性が2人と、つなぎの作業服を着た高校生位の女性3人が土佐の案内で入ってくる。

 海上保安官2人は慣れているのか、立っている夕立と浜山へ整列して敬礼し、答礼を待って自己紹介する。

「初めまして。海上保安庁第一管区海上保安本部室蘭海上保安部苫小牧海上保安署所属、CL18”とまかぜ”の苫風三等海上保安監です。今夜はお招きいただきありがとうございます。」

「同じく苫小牧海上保安署所属、CL167“えぞかぜ”の蝦夷風一等海上保安士です!」

 比較することは中々難しいが、海保の三等海上保安監は、海自に当てはめると2等海佐に相当し、一等海上保安士は3等海曹に相当する階級である。

 それぞれの自己紹介に応じて、夕立と浜山も自己紹介する。

「海保さん、初めまして。タグボート達は昼間ぶりだね。私は護衛艦“ゆうだち”の艦魂で夕立って言うんだ、よろしく。“とさ”の向いの103って艦だよ。分かりやすいだろ、海保さん?」

「私は陸自304サンマルヨン施設隊の浜山と言います。階級は3等陸曹です。よろしくお願いします。」

 一方、つなぎの作業服3人は、こういった場に慣れていないのか、どういった順番で立つか若干揉めつつもようやく決まったのか、蝦夷風の左側へ恐る恐る並んでいく。

「う、うちらは!道東港湾株式会社から来ました!タグボートです!昼間は土佐3佐さんと夕立2佐さんを、お、お世話させていただきました!改めまして、ご、ご挨拶させていただきます!私の左が第三室蘭丸で、その隣が第八日高丸、うちは第一苫小牧丸です!お、お招きいただき、あ、ありがとうございます!!」

 体育会系のような雰囲気で、自分と2人を緊張しながらも大声で紹介する第一苫小牧丸。

 あまりの大声に隣に立っていた第三室蘭丸は、右耳を塞ぎ顔をしかめていた。

 紹介を終えた第一苫小牧丸は「ほれ2人共、挨拶!」と、第三室蘭丸を左肘で小突きながら急かす。

 迷惑だという感情を隠すことなく第一苫小牧を一睨みすると、軽くお辞儀をして、自己紹介を始める。

「第三室蘭丸・・・です。・・・よろしく・・・です。第一苫小牧丸が・・・大声で・・・失礼・・・しました」

 うっかりすると聞き落としそうな、小さな声で自己紹介した第三室蘭丸は、今度は深々と頭を下げて、謝罪の意を表す。

「はいは~い!今度はあたし!第八日高丸って言うんだよ!?よろしくね!!」

 対して、第一苫小牧丸とは違う元気さで自己紹介する第八日高丸を見た浜山は、つなぎの作業服を着ているところから、第八日高丸を工業高校の生徒のようだと思いながら見ている。

 つなぎの作業服自体は、農業高校でも着るし、稀に部活等でも着る場合が無いわけではない。

 ただ、浜山の出身が工業高校のため、建築デザイン科等の女子生徒を思い出して(似てるなぁ)と頭の中で呟く。

 そうに浜山がぼんやりと考えていると、土佐が厨房から何かを持って歩いてきて、後ろから員長と須田も続いて出てくる。

「改めまして皆さん、ようこそ“とさ”へおいで下さいました。どうぞ、お掛けになって下さい。ちょうど小腹が空いた時間だと思うので、給養員長達が作ってくれたおにぎりと、浅漬けを用意しました。」

 そう言いながら土佐は、海苔おにぎりを乗せた皿を苫風と蝦夷風の前に置く。

 員長は夕立の前に皿を置くと、土佐が座るであろう隣の空席に置いて、浜山の前にも置く

 須田は員長と同時に第一苫小牧丸達の前から並べていく。

 並べ終わると、須田は厨房に駆け足で戻り、員長はテーブルの短辺の方に立って作業帽を脱ぐ。

「ようこそ、護衛艦”とさ”の食堂へ。急だったので、これしか用意出来ませんでしたが、ゆっくりくつろいで下さい。」

夕立、浜山、海保の2人は姿勢を正して礼をし、タグボートの3人はお互いに顔を見合わせていて、遅れて慌てながら員長に向いて礼をする。

 そのタイミングで、須田がトレーにコップと水差しを載せて、給養員の海士長が小皿に浅漬けを小分けしたものを持ってくると、須田は夕立から自衛隊と海保側を階級順に回り、タグボート側は海保の続きの順番で入れていく。

 海士長の方は、海保側、タグボート達、自衛隊側の順で小皿を置いていき、終わると一礼して厨房に戻っていく。

「こんな事・・・初めて・・・。緊張・・・する・・・。」

 コップを置いてもらって会釈した直後、第三室蘭丸がそうポツリと漏らすと、第八日高丸もぼそっと呟く。

「室蘭、あたしだって緊張しちゃってるよ?」

 そう言った直後、隣から微かに振動が伝わって来たような気がして左側を見ると、第一苫小牧丸が微かに震えているように見え、テーブル下を覗くと、膝がガクガクと震えていた。

「あれ?苫小牧、足震えてるじゃん?」

「こ、こんな事!は、初めてだから、ど、どど、どうしたらいいのか!」

 緊張している3人を見て、員長は土佐に近づく。

 須田はそれを見ながら、水差しをテーブルに置いて、また少し離れる。

「私達がいると、緊張されてしまうようなので、離れようと思います。ご用があれば、いつでも呼びつけて下さい。」

 員長にそう言われ、土佐は返答する。

「分かりました。後は私がこの場をなんとかしますので、員長は明日の仕込みに集中して下さい。」

「しかし、それでは・・・」

 土佐の返答に員長は、少し渋るが、土佐は押し切る。

「いつもやっていましたから、大丈夫です。もし、手伝いが必要になった場合はちゃんと言いますので。」

「了解しました。」

 一礼すると、員長は須田を連れて厨房に戻る。

 土佐は視線だけで見送ると、「皆さん、いただきましょう。道東港湾の方々も遠慮なくお召し上がりください。」と全員に促す。

 夕立と苫風が「いただきます」と言って手を伸ばすと、それに蝦夷風と土佐が続き、浜山とタグボート達が続く。

 タグボート達は民間のため順番は偶然だが、自衛隊と海保側は偶然ではない。

 食事の食べ始めは階級の上位者からとなっているため、夕立と苫風が食べ始めないと他の者が食べられないことになる。

 海自の艦魂だけで私的な集まりであれば気にしないところだが、陸自の浜山や海保の苫風達の手前であるため、あえて合わせている。

 なお、食べ終わりも階級の上位者からとなっているのだが、これも食べ始め同様、会食相手を急かさないようにとの配慮から生まれたルールではある。

 ただ、一般的な社会人としてのルールとしても通用している物で、階級を除けば特別難しいものではないと言える。

「おにぎり・・・美味しい・・・浅漬けも・・・美味しい。」

「めっちゃ美味しい!ねぇ苫小牧!?要らないなら、あたしにちょうだい!」

「だ、駄目だ!食べるからあげない!」

 浜山はタグボート達が騒ぎながら食べているのを見て、(まるで本当に女子高生みたいだな)と思いながらおにぎりを食べ進める。

「おにぎりも浅漬けも、シンプルですが塩加減が絶妙ですね、苫風さん。」

「そうだね、持ち帰り出来るならしたいけど、迷惑かけるわけにもいかないからね。」

 一方で苫風と蝦夷風も、おにぎりと浅漬けに舌鼓を打ちながら食べ進める。

「お持ち帰り!?土佐さん、お持ち帰りって出来るんですか!?」

 苫風の言葉に反応した第八日高丸は、勢いよく立ち上がって土佐に質問する。

 土佐は申し訳無さそうな顔をすると、立ち上がってゲスト達に頭を下げる。

「こんなに評判が良いとは思わず、員長は浅漬けをそんなに作っていないそうです。おにぎりも残念ながら、ご飯がそんなに余っておらず、それに当直の方々用に取っておきたいので、お代わりは無しとさせていただきます。申し訳ありません。」

「残念・・・です・・・でも・・・仕方ない・・・です。」

「そっか、そういう事なら仕方ないよなぁ~」

海保達と第三室蘭丸、第一苫小牧丸は、土佐の話に納得したようだが、1人だけ納得しない者がいた。

「うえ~ん!もっと食べたいのに~!」

 第八日高丸は泣き真似を始めて、テーブルに突っ伏す。

 第一苫小牧丸達が呆れていると、第八日高丸の正面に座っていた浜山は、まだ手をつけていなかったおにぎりを差し出して、「私ので良ければお1つですが、差し上げますよ?」と声をかける。

 その声に第八日高丸は泣き真似を止め、口をぽかんと開け、体を起こして浜山を見つめる。

「浜山、良いのか?」

 浜山の行動に、軽く驚きながら夕立が声をかける。

「はい。私はもうお腹が一杯なので、残すよりも第八日高丸さんに食べていただいた方が良いと思ったんですよ。」

 笑顔で夕立に答えると、「ここに置いておきますね」と、第八日高丸の近くに皿を置く。

「あ・・・あの・・・あ・・・ありが・・・とう・・・ございます、浜山さん・・・。」

 第八日高丸としては、タグボート達の集まりでの、いつもの冗談のつもりで取った行動だったため、浜山の行動に対して今更冗談だったと言えなくなってしまい、俯きながらおにぎりを両手で持って、恥ずかしがりながらも、一口、頬張る。

 その様子を横目で見ていた第一苫小牧丸は、涙目になりながら笑いを無理矢理抑え込んでいたが、手で口を抑えて下を向きながら、体を震わせ始めた。

「そうだ、苫風さん。海保そっちは最近忙しい?大湊うちは今、訓練とか艦艇公開のラッシュで忙しいんだ。」

 そんな雰囲気の中、少し身を乗り出して苫風に声をかける夕立。

苫小牧海上保安署うちでは、夏レジャー等の影響で、先月から118番通報が増えました。なので、その対応に追われる事が増えましたね。これからは秋に向かっていきますので、減るんじゃないかと思いますし、出来るだけ減ってほしいと願ってますね。」

「そちらはそちらで、中々大変そうだな?」

 夕立はそう言うと、水を少し飲み、苫風もそれに合わせるように水を飲むと、話を続ける。

「私達はまだ良いんですが、保安官さん達が結構苦労してます。携帯電話から通報が来ると、事故や事件などの場所を正確に把握するのに、時間がかかることがあるので。」

 と、海自側と海保側が、和やかとは言い難いながらも雑談をしている一方で、浜山と第一苫小牧丸達も話を続けている。

「へぇ~!訓練でこっち来たんだぁ!ところでさ、浜山さん!?あなたは、どんなところで活躍してるの!?津軽海峡!?それとも日本海側!?」

 第八日高丸は先ほど落ち込んだ調子を取り戻したように、浜山に質問する。

「いえ、私は島根県の出雲駐屯地にある、第304施設隊に所属しているんです。」

 浜山の言葉に、それぞれが疑問の声を上げる。

「島根県?青森県の近くなの?」

「さっきも自己紹介で聞いたけど、施設隊?ってどんな事してるんだい?夕立さんと同じなのかい?」

「私は・・・その緑の服・・・ずっと・・・気になってる。」

 第一苫小牧丸と第三室蘭丸もそれぞれに、浜山に気になっている点を訪ねる。

「順番にお答えしますと、まず日高丸さんの質問ですが、島根県は西側の中国地方です。次に、苫小牧丸さんの質問ですが、任務は夕立2佐とは違います。これは後で詳しくお答えするとして、最後に室蘭丸さんの質問ですが、これは陸上戦闘服3型と言って、陸上自衛隊の作業服です。」

 第八日高丸はよく分かっていないようではあるが、分かった振りをして「へぇ~中国地方ねぇ~?」と言いながら視線を彷徨わせ、第一苫小牧丸は珍しい物を見たようにじろじろと浜山を見ているが、第三室蘭丸はどちらとも言えない視線で浜山を見つめる。

「それで後回しにした任務の話ですけど、私が携わっているのは、川に橋をかけたりする事です。橋と言っても小さいものですけどね。」

 そこで話を区切ると、水を飲む浜山。

 飲み終わったのを見計らって、第三室蘭丸は急に立ちあがる。

「浜山・・・さん・・・2つの質問・・・良いですか?」

「室蘭?どうした?」

「どうしたの?急に?」

 急に変わった雰囲気に、第一苫小牧丸と第八日高丸は戸惑い、海自と海保の4人は話を止めて第三室蘭丸に注目する。

 浜山はたじろぎながら「ど、どうぞ」と第三室蘭丸を促す。

「一つ・・・あなたは・・・橋を運ぶ・・・船・・・ですか?」

「そりゃあそうだろ?橋を運べるなんて、はしけとかくらい・・・艀?」

「ねぇ苫小牧?艀に船霊せんれいって、いたっけ?」

「もう一つ・・・質問・・・」

 疑問を浮かべる第一苫小牧丸と第八日高丸をよそに、第三室蘭丸は続ける。

「どうして・・・あなたは・・・・・・なんですか?」

 海自以外の視線が、一斉に浜山に集中する。

「そういえば・・・あんまりにも馴染んでるから、気付く事すら無かったけど、言われてみればそうだな!?」

 浜山は困惑しつつ、第三室蘭丸を見ながら口を開く。

「お答えします、第三室蘭丸さん。私は護衛艦や巡視艇ではありません。もちろんフェリーやコンテナ船といったものでもありません。」

「じゃあ・・・あなた・・・何者?」

「人、と言えばよろしいでしょうか。島根県出身で、正式に言いますと、陸上自衛隊中部方面隊第4施設団第304施設隊渡河器材小隊所属の浜山陸斗3等陸曹と言います。」

 浜山の返答に、激しく動揺する道東港湾の3人。

「浜山丸とか、浜山号じゃないの!?うっそでしょ!」

「私達が見えるだって!?こんな人間がいるなんて初耳だよ!?」

「もしかして・・・土佐さん・・・夕立さんも・・・人間?」

 その言葉に、海保の2人は浜山から海自の2人に視線を移す。

 土佐が説明の為立ち上がろうとすると、先に夕立が立ち上がって、説明を始める。

「誤解してるみたいだから言っとくけど、私と土佐は間違いなく艦魂だよ。陸自の浜山と給仕してくれた“とさ”の給養員3人は、人間だよ。あ、そうそう。入港の時、私と第一苫小牧丸・第八日高丸とで無線で話をしてただろ?あれさ、人間達には真似できないから。今、浜山に無線で呼び掛けてるの、私や土佐はさっきから聞こえてるけど、浜山達人間には、残念ながら意味がないんだよ。」

 土佐は夕立の言葉を聞きながら、かつ、確認の為なのか、道東港湾の3人による浜山への呼び掛ける無線を聞きながら、道東港湾の3人と海保の2人の様子を伺っている。

 道東港湾3人の浜山への呼び掛けは、夕立の説明直後にぱたりと止まり、直前まで騒がしかったのが嘘のようである。

 そして海保側は動揺しておらず、無線による呼びかけも最初から無く、道東港湾の3人とは明らかに様子が違う。

 この事から、苫風と蝦夷風は少なくとも1回は、乗員達に何らかの接触をしたことがあるのだろうと、土佐は推測をたてる。

 そんな土佐の耳に、第三室蘭丸達の言葉が届く。

「私・・・誰とも・・・人間と・・・話・・・したこと・・・無い。」

「誰も気づいてくれなかったよな?」

「あたしも気付いてもらえなかったよ!?目の前に立ってても、話しかけられた事なんて、今まで、まーったく無かったよ!?なんで!?なんでなの!?」

 土佐はそれを聞き、座ったままでそれが本当か、直前もそうだったのかを道東港湾の3人に問うと、それぞれが首肯する。

 土佐は急に立ち上がると夕立に「報告してきます」と囁いてから、「用事を思い出しました。5分から10分ほどで戻りますので、皆さん、ゆっくりしていて下さい。」と、急ぎたい気持ちを抑えて、歩いて食堂から出ると姿を消す。

 土佐は一瞬だけ、その場で姿を消してでも、早急に艦橋へ行きたいと考えた。

 が、混乱状態にある民間人3人をこれ以上不安がらせないようにと、最大限の配慮した結果として、“歩いて食堂から出る”事にしたのである。

 第3食堂の外で姿を消した直後、操舵室の出入り口に姿を現した土佐は、驚いている当直士官達を無視し、高崎の座る赤色のカバーがかかった艦長席に駆け寄る。

「どうしたんだ、血相変えて。第3食堂で海保達と話をしてたんじゃないのか?」

 高崎は、市販の紅茶が入ったカップを持ち上げると、一口飲む。

「タグボートの方々が、今日初めて人間と接触したと教えてくれました。」

「んん?どういう事だ??別に不思議でも無いだろ?土佐達より遅かっただけって話じゃ無いのか?」

 カップを置くと土佐の方へ、イスごと回して向く。

「いえ、浜山3曹を艦魂と間違えたり、道東港湾の乗員さんとは接触出来なかったりしていたと仰っていました。しかし、特殊であるはずの浜山3曹を除いて、給養員長と須田2曹達もごく普通に、道東港湾のタグボートの方々へも、支障なく給仕してくれました。」

 聞き終えた高崎は、一息つくと瞑目し、考えをまとめている

「・・・ふうん・・・つまり、道東港湾の乗員達が認識出来ないタグボートの艦魂・・・いや“船霊せんれい”?今はどちらでもいいか。とにかく、とさうちの給養員長達には認識出来たのが気になる。土佐はそれが言いたいんだな?」

 少し間を開けて土佐が首肯すると、高崎はすぐに視線で誰かを探す。

「航海長!こっち来てくれ!」

 その声に、航海長が駆け寄ってきて、土佐のそばに立つ。

「艦長、いかがされましたか?」

「少し席を外す。第3食堂行くから、何かあったら、そっちに連絡くれ。しばらく艦橋ここを頼む。」

 艦長席から立ち上がると、高崎はそうに航海長へ声をかける。

「了解しました。お任せ下さい。」

 航海長の敬礼に、高崎は答礼してから土佐と共に食堂へと向かう。

 航海長が高崎達を見送って2分ほどすると、今度は気象士が艦橋に入ってきて、航海長に挙手敬礼する。

 航海長がどうしたのか問うと、天気の今後の見通しの報告であった。

「航海長、報告します。愛知県の辺りにある低気圧ですが、前回の予報よりも移動速度に遅れが見られ始めました。」

 気象士の報告に、航海長は怪訝な顔で「遅れ?」と聞き返す。

「はい。前回の観測情報では983hPaヘクトパスカルだった低気圧が、現在991hPaに上昇しています。修正報ですが、翌朝1000ヒトマルマルマル、八戸から久慈付近で、前線と遭遇すると思われます。ただ、勢力が落ち始めていると思われるため、もう少し西よりで遭遇の可能性も考えます。以上です、航海長。」

 持っている紙には、今回出した予報が書かれているようだが、気象士は一瞥することもなく、航海長に報告している。

 気象士による昼間の予報では、0900から出港時刻の0930頃に低気圧と遭遇すると見られていた。

 しかし、気象士は低気圧が勢力を落とし始めていると判断、青森県八戸市から岩手県久慈市付近で低気圧の中心に遭遇すると判断し直して、予報を修正した。

「分かった。引き続きよろしく頼む。それから、艦長は現在第3食堂だ。」

「了解しました。すぐに向かいます。」

 気象士は挙手敬礼し、艦長の元へ向かうため、艦橋を後にする。

 数分後、気象士は第3食堂で高崎に報告すると、高崎に言われて紙を渡すと配置に戻っていく。

「浜山、出航してから低気圧と遭遇だとさ。もっとも最初から浜山には、元々からバッドニュースだけどな。」

「遭遇の時間が遅くなっただけですからね。」

 これから起きるであろう海のうねりを想像し、顔に出さないようにしながらも、明日は1日中動けないのは確実だと、気分的に青くなりながら高崎と会話する。

 一区切りつけると高崎は海保の2人の方を向く

「苫風さんと蝦夷風さんも予報の詳細を見ますか?」

 高崎はそう言うと、先程受け取った紙を苫風に手渡そうとする。

「見ても大丈夫なのですか?」

「予定航路とか書いてあるわけじゃないし、問題は無いですよ。」

 高崎の少し丁寧な言葉に、恐る恐る受け取って蝦夷風と一緒に確認するとすぐに紙を返却する。

「高崎艦長。道東港湾さん達には、私から説明しておきますね。いつもそうしてますので。」

「分かりました。苫風さん、それでお願いします。」

 高崎はそこで水を飲むと、夕立と土佐と3人で2言3言会話をすると、今度は道東港湾の3人に話しかける。

「皆さん、”とさ”はいかがですか?」

 高崎が問いかけると、突然立ち上がった第一苫小牧丸はそのまま直立不動になる。

「あ!えっと!その、とっても大きくて、押しがいがありました!」

 第八日高丸は、慌てて座るように促して、高崎に返答する。

「苫小牧、そうじゃないと思うよ!?すみません、艦長さん!あの、おにぎりとか美味しかったです!ごちそうさまでした!」

 第八日高丸も若干緊張しているのか、やや強張った顔でお礼を述べると、第三室蘭丸が続ける。

「苫小牧は・・・緊張しやすい・・・。でも、私も・・・艦長さん・・・前にして・・・緊張してる・・・」

 やはり、初めて人間と会話が出来て混乱状態にある中、この場での最高指揮官である護衛艦の艦長とも会話している状況に、タグボート達は心の整理が追いついていないようである。

 それも普通に会話からスタートしたのではなく、高崎からすると日常の1コマである気象士からの報告受領を一番最初に目撃し、3人の緊張は高まっている。

「大丈夫ですよ、高崎艦長は、今はしっかりしてるだけです。普段を見たら、きっと幻滅しますよ?」

「おいおい!それじゃあまるで、普段はしっかりしてないみたいな言い方じゃないか?」

「違うのですか?」

 高崎と土佐のやりとりに、緊張していたタグボートの3人に笑顔が戻ってくる。

 それを見た高崎は土佐に向かって、周りの喧騒にかき消されるくらいの小さな声で「ありがとう、助かる。」と呟くと、土佐は夕立越しに横目で高崎を見たまま、当事者でなければ分からないくらいに、頭を下げる素振りを見せる。

 ただ、高崎の言葉を土佐以外にもう一人だけ聞こえていた者がいて、高崎に小声で「阿吽の呼吸だね。羨ましいよ、まったく。」と囁いた後、苫風とまた会話を始める。


○神奈川県横須賀市北逸見へみ本町 同時刻


 愛知県付近を東進している低気圧の影響により、横須賀市内では1時間程前から雨が降り始め、昼間混んでいた商店街も、今は帰宅を急ぐ人達がまばらに見えるだけとなってしまった。

 NR関東・横須賀線が通っている横須賀駅の少し南の山側には、戸建て住宅やマンション群があるのだが、その中の一軒家では女性がカーテンを開けながら窓の外を見ていて、もう一人の女性に声をかける。

夏菜子かなこ、見える?雨が降ってるわよ?いつ降り出したのかしら?」

 少し年配の女性はカーテンを開けながら、『夏菜子』と呼んだ女性に窓の外を見るように指差して促すが、当の夏菜子は外を見る素振りすら見せない。

「こんなに部屋の中が明るくちゃ、ここからだと外なんか見えないし・・・。カーテン閉めてていいよ、母さん。」

 この年配の女性は夏菜子の母親で、諦めたような表情を見せる夏菜子に対して、不安げな表情を浮かべながら、カーテンを閉める。

 その背中に、夏菜子は言葉を続ける。

「雅さん、明日の昼頃来るって。」

 それを聞いて母親は振り向くと、右人差し指を右頬に軽く当てながら首を傾げて答える。

「雅さんが来るの?3ヵ月ぶりだったかしら?だったら、お昼は何を用意しようかしら?」

 のんびりとした母親の声にため息をついて、憂鬱そうな顔を作ってもう一つ付け加える。

「それから、彼も・・・仕事で今、横須賀来てて・・・その・・・終わったら、ちょっと寄ってくれるって・・・」

「そう・・・幸太郎さんも・・・。忙しいはずなのにね・・・。」

 そう言いながら、母親は夏菜子のそばの椅子に座り、顔を覗き込む。

 夏菜子は、母親の視線を避けるように壁の方を見ると、見るからに肩を落として小さくつぶやく。

「もう・・・来なくてもいいのに。」

 その声は母親にしっかり届いてしまい、椅子から立ち上がると壁を見ていた夏菜子の頬を両手で挟み、自分の方へ無理矢理向けさせる。

「そんな事、言うもんじゃないの!あの時だって、凄く忙しかっただろうに、1週間に1回も会いに来てくれてたのよ!?それを2年も続けて、今だって1ヵ月に1回は来てくれてるのよ?夏菜子はなんとも思わないの!?」

「思わないよ。」

 夏菜子はそう言うとせめてもの抵抗をしようと考え、視線を精一杯左に向けて、何が何でも母親と視線を合わせないようにしている。

「どうして?本当に夏菜子はそう思ってるの?」

 母親は視線を追うこともなく夏菜子に疑問を投げかける。

「思ってる・・・。それに彼だって、立場とか義務とか責任から、ここに来てるだけ。私達・・・好きとか愛してるとか、そう言うの・・・ないから。」

 母親は両手を離すと、ため息をつき「まったく」と一言呟くと、顔を夏菜子に近づける。

「だったら、どうしてずっとお見舞いに来続けてるのかしら?本当にそれだけだと思ってるの?本当に夏菜子がそう思ってるなら幸太郎さんも可哀想だけど、母さんも悲しいわよ?」

「言ったでしょ?返事はもう貰ってる。」

「それは聞いたけど、じゃあ、なんで今も来てるの?」

「私が“錨”になってるから。さっきも言った。立場とか義務とか責任って言う“鎖”が私と3佐の間に“呪縛”として繋がってる。ただ・・・それだけなの、本当に・・・。」

 2人の間に沈黙が漂い、母親は何も言わずに部屋から出ようとする。

 しかし、扉から出たところで振り向くと、声をかける。

「夏菜子?疲れてるなら、もう寝なさい?いつもあなた言ってたでしょ?『寝不足はお肌の敵だ!』って。幸太郎さんのためにも綺麗でいなさいよ?」

 そう言って扉を閉めると、リビングに向かっていく。

 夏菜子は布団をかけ直すと、リモコンを使って照明のスイッチを切り、スマートフォンを手にとって着信の履歴を呼び出す。

 そこに母親や友人らしき名前が並んでいるが、その中に『野原雅3尉』の名前と、その10分後に『幸太郎バカヤロー元3佐』の名前が表示される。

「なんでよ・・・」

 じっと表示を見つめながら、『幸太郎』の文字を人差し指でなぞる。

「3佐だったら・・・1人でどこへでも行けるじゃない・・・私みたいな“錨”なんかほっといて、鎖ぶった切ってどこへでも行っちゃえ・・・」

 かつて見た護衛艦”こんごう”や“しまかぜ”を思い出しながら、スマートフォンの電源を切ると充電台に置き、目をつぶる。

「だから、私にとってはいつまでも”3佐”なのよ・・・女々しいんだから・・・」

 そう言って夏菜子は、自衛隊横須賀病院の病室から時々見えた護衛艦等の艦艇を頭に浮かべ、最後に男性を思い浮かべる。

「幸太郎の・・・バカヤロー・・・」

 その小さな呟きは、少しずつ強くなってきた雨の音にかき消され、夏菜子は本当に自分で呟いたのか分からなくなりながら、眠りの世界へと出航していった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る