第62話 魔都に漂う者 魔都の協力者
飛びかかる敵をトワは一脚して距離を取る。
「貴様、何者だ」
襲いかかった一人がトワに問うがトワは無言で間合いを計る。
じりじりとトワと間合いを取っていた敵が二人一組で飛び掛かってくる。
キーンと金属音出して最初の二人の攻撃を防ぐが次の二人が斬り込んでくる。
トワは最初に斬りかかった二人をナイフの軌道を変えて引き寄せて、味方同士の相打ちに持ち込み味方を斬って動揺している二人を切り伏せて敵を無力化して今回の首謀者に近づき首元にナイフをあて高揚の無い口調で問う。
「貴様は何者で何故マリア姫を狙った?」
無力化した連中が呻き声を挙げる横でトワは首謀者の男に問い詰める。
「私は現魔族丞相でウェーバー、この襲撃はマリア姫を誘拐してショパン暗殺を同時に進行した、暗殺が失敗に終わってもマリア姫を使い次期魔王候補になるショパンに魔王候補を降りるようにする計画だった」
「ショパン?」
「今回マリア姫を魔都に招待した奴だ、そして魔王シューベルトがその中でも最有力候補に挙げている一人になっている、私はそれを阻止するために今回の襲撃を計画した、勿論マリア姫はショパンが失脚したら安全に人族に帰す予定だったが、ショパン暗殺は失敗、マリア姫も貴様に阻まれた」
「ショパンを候補にさせないのは理由があるのか?」
「明日マリア姫が会うショパンが本物であったならば私も今回の計画をすることはなかった」
「本物?今魔族にいるショパンは偽物なのか?」
「そうだ、本物のショパンは魔族の中でも天才と呼ばれ、魔族の危険地域の領主をして魔物と最前線で戦っていたが、半年ほど前にショパン領内で起こったスタンピードの際に生死不明の行方不明になった、生存は絶望視されたがそれから五日後戻ってきた、最初は皆英雄の帰還を喜んだ、ショパンは帰還後に魔都近郊に配属を魔王シューベルトに嘆願した、理由としてスタンピード際に負傷した為に前線から退く言った、魔王もこれまでの功績と事情を考慮して受諾し、魔都ヒビクの隣接している魔族領土内で安全な領主になった,ショパンが領主になった時を境にショパンの領地内で女子供やショパン領地に来ていた商人や旅行者などが行方不明になった」
「それをショパンがやったいう証拠は?」
「私の息子夫婦は魔族内定調査機関だった、息子夫婦がショパンを調査しに行くと言って家を出たのが三ヶ月前、そして一ヶ月前にショパン領土近郊で魔物に食い殺されたと思われる死体が出た、それはショパンを調査に行った息子だった」
「魔物に殺されたのでは?」
「その可能性もあったが、息子の腹の中からショパンの悪行を記載され書類が出てきた、その書類に書かれた文面の中にショパンが屋敷にかなり大きな地下室に大きな巨人像を祀って、領内からさらってきた者たちに薬漬けにして淫行させて衰弱死させてたり、巨人の前の祭壇で女子供の心臓を抜き取り捧げたと書いてあり、最後の一文にショパンが人払いをした部屋でショパンと皮を文字道理に脱ぎ捨てると中から大陸では見たことの無い種族が出てきた所で発見され逃亡の際に記載したと書いてあった」
トワはナイフをしまいウェーバーを立たせて椅子に座らせる、ウェーバーが一人を残して護衛を下がらせて水を飲んで落ち着いてから話を再開する。
「何故ショパンはマリア姫を?」
「理由は息子達の調べにも分からない故に、マリア姫か目を離さないようにすることをお勧めする」
「聞きたいのだが、闇の巨人崇拝教なる奴らを見聞きしたことが無いか」
「闇の巨人?」
「そうだこの間アーイル王国で巨人騒動が起こった事に一枚かんでいる」
「闇の巨人関係者か分からないが、ショパン領内で数ヶ月前から気味の悪い集団が何度も目撃されていると報告が来ている」
「ショパンがその集団との繋がり有るのは間違いないな、その集団が闇の巨人の可能性が大きいなら、協力するが」
「待て、訳の分からぬ者の力は借りぬ」
後ろに控えていた護衛がトワの会話を遮って止める。
「オベロン、気持ちは分かるが私はこの者の力を借りようと考えている」
ウェーバーはオベロンと呼んだ護衛を宥めて話し出す。
「私はショパンを討ちたい、その為になら如何様な力も行使・執行するつもりである」
「・・・ウェーバー様・・・分かりました」
「すまない、力を貸してくれ」
「分かった・・・どうやら早速うごきがあったようだ」
トワは窓を開け外に飛び出していく、慌ててウェーバーが窓辺に行くとトワはどうやったのかいつの間にか、屋根づたいに走って行く。
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