第56話 魔都に漂う者 10 ソフィア

 あれからホムンクルスの少女に名前を付けた、最初は名前が無いのかと聞いたら、容器の中の記憶だけで、この世界の百年前の知識と少しだけ有ると言った、トワをマスターと呼んだのは容器の中で少女を出す人物がマスターだと教えられていた為だった、少女はマスターが名前を付けて下さいと言ったのでトワは悩んで、少女にソフィアと名付けた、トワがソフィアと名付けのは・・・


【はーい、お久しぶり、217ことニーナだよ、マスターが私以外のマスターになっちやった、後でマスターとOHNASIしなくちゃね、あ、と、と、ひとまず置いといて】

【217の補足講座】

 ソフィアのギリシャ語でソピアーと言って叡智えいち智慧ちえを象徴する神様で夢に出てくる女神様はソフィアだと考えられているらしよ、ユングの伯父さんが言うには元型象徴って言うんだって。

 それでキリストさんやユダヤさんの本に出てくる女神と知られているので、外国の女性の名前としてはポピュラーな名前だよ。

 それでそれで、マスターがソフィアと付けたのわね、ホムンクルスは生まれながらにしてあらゆる知識を身に付けているというパラケルススさん(本名テオフラストゥス・(フォン)・ホーエンハイム)が言ってたよ。

 あ、パラケルススさんはファンタジーで御用達の賢者の石、ホムンクルスの作った人だよ。

 話を戻すね、だからホムンクルスと女神の知識を持つ女性の意味でソフィアとマスターは名付けたんだね。

 以上、217のニーナちゃん補足講座でした。


 と言うことでソフィアと名付けた。


 ソフィアは今ブカブカの服を着ている、ソフィアは容器の中に裸で浮いていた、外套では色々不味いので自分の予備の服を着せて馬車に乗せた。


 マリアとキティは驚いていた、起きたら知らない女の子が馬車に乗っているのだから、それから二人に事情を説明した。

 マリアとキティにはツペェシュの生贄として連れてこられて身寄りがないので自分が保護と面倒見ると言って納得してもらった。


 ツペェシュの件で時間を取られたので、馬を村で交換して移動距離を稼いで今夜は、魔族で一番近い街まで移動する、移動中は特に問題が無く何とか予定していた行程をこなせた。


 魔族の領土で人族に一番近い街サージェント、人族の領土が近いだけあり人が多く見受けられた、サージェントには夕方前に到着したが、街に着いてから別の用事を済ませて、日が暮れてから、ようやく今日は何とか予約していた宿に到着出来た。


 予約していた宿は王族などが利用するだけあり内装は豪勢で清潔感がある宿だった、マリアは最上階のロイヤルスイートで宿泊で護衛のトワは同じ階の護衛用の部屋が宛がわれた、キティも同じ階の従者の部屋に宛がわれていた、マリアとキティは昨晩の疲労と街の用事をこなしたら、食事も早々に切り上げて就寝する。


 部屋に戻るとソフィアが服を並べて待っていた。


「マスター!!、マスター!!、マスターはどの服がソフィに似合うです?」


 ソフィはトワを見付けるとトコトコと近寄って、服をトワに選ばせようとする、街に着いてこなしたのは、ソフィの服を街に着いてから直ぐにマリアを筆頭に女性の従者と護衛達が服屋に直行した事で、男性陣は数名の護衛を残して宿に向かい荷降ろしや手続きなどをした、ソフィが服を見せてくるのは服屋で選ぶ際に「トワ様は後で」と服を追い出されて仕方なく外で護衛任務をする事に、三軒程店を回ると大量の梱包された買い物袋を見てトワは後でこの量を見るのかと辟易し、溜め息を吐いた。


「ソフィが好きなのを着ればいいよ」


 トワの言葉にソフィアはほほを膨らませて抗議する。


「マスター、皆さんが言ってました、女性の服を選ぶのもマスターの役目だと」


 ソフィアは買い物の際に、好きな男性に一番似合うと思う服を選んで貰うのは女性の義務で、それを選ぶのは男性の義務だと教えられた事を、ソフィアは脳内変換で、「ソフィの服を選ぶのはマスターの役目」と認識してしまったのだ。


「だからマスター、ソフィの服を選ぶのです」


 大量の服を前にしてトワは蟀谷こめかみを押さえながらソフィアの服選びを明け方近くまでやった。

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