第40話 茜いろのダンジョン攻略1
結局、四曲ほど付き合わされた、一曲目が終了したのでチーチェ達と合流しようとピアノから離れようとすると、肩を掴まれ振り返ると歌い手が別のスコアを片手に持って立っていた。
「これもお願いしたいな~」
笑みを浮かべながらスコアを手渡された、一曲だけのはずと抗議しようとするが、歌い手は歌う準備が終わっていて、客達もいつの間にか静かに聞き入って、次の曲を今や遅しと待っている。
「ふー」
一息ついて、しょうがないと思いながら付き合う、四曲終了してようやく解放された。
「ありがとね、いや~まさか奏者だったんだねキミ」
演奏を終えてチーチェ達の席に向かう時に歌い手も付いてきた。
「いや、只の旅人だ」
「ふ~ん、まあいいや、今回のお礼に食事を奢らせてね、そうそう自己紹介してなかったね、私はコロラ・トリルよろしくね、でキミは」
「自分はトワ、こっちがチーチェで、そっちがリリア」
「よろしくねチーちゃん、リリアちゃん」
「はい、よろしくお願いいたします、コロラさん」
「リリアです、よろしくお願いいたしますコロラさん」
「二人とも堅いよ、コロラって呼んで」
チーチェとリリアの二人はコロラをコロラ姉さんと呼ぶことで落ち着いた、コロラは二人から姉さんと呼ばれ、「私、こんなかわいい妹が欲しかったんだ」と喜んでいた。
「店員さーん」
コロラが宿屋の娘に大量の食事を注文する。
「コロラ姉さん、そんなに注文しなくてもいいですよ」
「いいのいいの、今回トワ君のお陰で沢山御捻り貰えたからね、だからお礼にね」
チーチェとリリアは顔を引き攣りながら、「はい、頂きます」と言う、二人は注文した量を食べたら体重がと思い、二人は目で明日は運動量を増やす事を決意しあう。
***
翌日、食堂にはトワ・チーチェ・リリアの三人だけで座っていた。
「トワさん、うちの馬鹿にぃどうです?」
「うちの父も」
「あの様子だと、今日は動けないな、二人が動けないがこのメンバーで行くか?」
「「ハァー」」
二人が溜め息を吐くと近付く人がいた。
「おはよう、どうしたの朝から溜め息を吐いて、もしかして昨日の夜は寝かせてもらえなかったの?」
近寄って来た人はコロラだった、昨日の夜?別の部屋で寝ていたので自分せいではない、しかしチーチェとリリアを見ると何やら顔を赤くしているが体調が悪いのだろうか?
「おはよう、コロラ昨日と違う出で立ちで一瞬分からなかった」
コロラはフード付きのローブを付けていて長い髪を後で束ねいた。
「今日はねダンジョンに行こうと思ってて、今の話聞かせてもらったけど、メンバーが足りないなら、私が参加してもいい?」
コロラの発言でチーチェとリリアがこちらを見ている、どうやら決定権は自分に一任されている様だ。
「構わないが、コロラは自分のパーティー?」
「それなら大丈夫、私はギルドで短期パーティーを組んでいるだけで、固定パーティーはいないから今フリーなの」
「なら、よろしく頼む」
「「よろしくお願いいたしますコロラ姉さん」」
「ん、よろしく、朝食まだでしょ食べよ」
宿屋の女将さんが運んで来た朝食を摂り、準備してから茜いろのダンジョンの前に立つ、ナーガルとアルタには今日は寝ているように伝えた。
メンバーを見渡す、本来ナーガルと自分が前衛を務め、アルタとリリアが中衛で臨機応変に動き、後衛でチーチェが魔法で援護する予定だったが、二人が抜けたので、自分とリリアが前衛で、チーチェとコロラが後衛で支援する事になった、話を聞くとコロラは奇跡魔法の使い手だったので後衛をお願いした。
「さあ、行こう」
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