第313話 ガナガ

「ガナガ団長……」

「やぁ、アリア!君は相変わらず綺麗だね!」

腕を大きく広げ、大仰なしぐさでアリアを褒めるキザ野郎。


「アリア、僕のところに来たまえ。そうすれば今すぐにでも……」

キザが片手を上げると、周りの森が明かりが灯ったり、光が反射したりと、

魔法の準備をしている雰囲気がある。

コイツの騎士団は確か、魔法メインの騎士団だったか?


「その汚物どもを消し飛ばすから。」

「やめてください!私達は今から魔王を倒しに行かなければいけないんです!」

脳筋がガナガから俺達を護るように、間に立ち塞がる。


「団長こそ、なんで攻撃を仕掛けてくるんですか!?もしも、騎士団としての誇りが

あるなら、せめて魔王を倒すまで邪魔しないでください!」

脳筋の言葉足らずな説得を聞いて、ガナガが笑い出す。


「魔王なんて放っておけばいいじゃないか。」

「えっ?」

「僕と魔術師団全員、レリア殿から素晴らしい力を頂いたんだ。こんな風にッ!」

そうして手をかざし、高速で詠唱を終えると、宙に浮いた2~3mほどの氷柱が十数本現れる。

現れた氷柱を飛ばして、俺達の付近の地面へと突き刺した。

それに驚いたダラが逃げ出してしまうが、追っていけるほどの余裕はなさそうだ。


「どうだい、これが僕の実力だよ!この力があれば何だってできるんだ!魔王にこだわる

なんてバカバカしいじゃないか。ハッハッハッ「しょぼいな」……はぁ?」

キザがこちらを物凄い目で睨んでくる。


「お前、借り物の力を実力と勘違いしてるのか?哀れだな。しかも、その程度で

何でもできるなんぞ、自分を過大評価しすぎだろ。」

どうやら俺の言葉が癇に触ったのか、俯うつむいてプルプルと震えている。かすかに

見える肌の色は薄い月光でもわかるくらいに真っ赤になっている。

これからどうするかと見ていたら、ブツブツと何かを呟いている。


「こ、この僕をバカに、バカにしやがってぇぇぇぇ……!お前は死ねぇ!」

ガナガが再度の呪文を唱え始めると、周りからも魔法が飛んでくる。それと同時に

スターナが魔法を発動させ、俺達は魔法の攻撃範囲の中心から抜け出した。


「んぁっ!?」

「水よ。深き生命の源よ。我が前に立ちふさがりし愚かな魂を

貫き滅ぼしたまえ……アイススピアー!」

見失っていたようなので、アイツお得意の氷魔法で返してやる。


「てぇい!」

サーシャが森の中に薬を投げこみ、敵を炙り出す。そして出てきた敵をフィルが討つ。

脳筋と詐欺師もコンビを組んでいるが、脳筋は歯を食いしばっているのが見えた。

顔見知りを倒すのはキツいんだろう。


「さて、生きてるんだろ?さっさと出てこい。」

俺が氷柱の方に向かって声を掛けると、体中の骨が折れながらもユラユラと歩いてくる

キザ野郎の姿。


「あぁぁぁぁ……うぁぁぁぁ……」

もうちゃんとした言葉を吐いてはいないが、敵意だけはひしひしと感じる。

いくら嫌いな人間としても、嬲り殺す趣味はない。

一思いに死なせてやる。

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