第288話 首都はどうなっている?

「さて、背骨と胃が死にそうなんだけど、どうしよう……」

「全身鎧着てダラ車に長時間乗ってれば、そりゃそうなるでしょ。」

日が暮れかかる頃、俺達はクアーズ王国の首都――ガデアフィルというところに

着いた。

スターナ達と別れてからダラ車に乗ったものの、やはりアレはキツい。


「まったく、リュリュはずるいよ。寝ていたらいいんだからさ……」

「ふっふっふ、羨ましい?」

「どうでもいいから、さっさと行くぞ。」

いつまでも、街の前で騒いでも仕方がないので、早めに入りたかった。

それに俺も水が飲みたい……

「ま、待って二人とも、うぁっ……!こ、腰が……!」

その前にフィルをどうにかしないとな。





「あ~助かった!兄ちゃん、ありがと。」

「まさか腰痛に治癒魔法を使う事になるとは思わなかった。」

今現在、俺達は街を散策している最中。さっきまで少しの休憩を挟んだので、

幾分か回復し、宿に向かいながら街の様子を見ている。


しばらく歩き回っては見たものの、特に怪しい人物は見かけない。

「みんな普通に生活してるね。」

「そうね。ドゥクァが聞いた話だと、様子がおかしい人が増えてるんだっけ?」

「確かにそう言っていたはずだ。」

結局、生気のないような顔をしたヤツ……夢の中で見たようなのは確認できず、

俺達は一旦、宿に戻る事にした。


「? アレ何だろう?」

戻ろうとする最中、フィルが気になる物を発見したらしいが、そちらを見ると

ただの樽だった。ただし、数が多い上に、運んでいる場所が、

「お城の中に運んでるわね。献上品じゃないの?」

「樽を?」

「いや、中に入ってる物をよ……王様も何が悲しくて、樽を貰わにゃならんのよ。」

献上品か。十数個も一体、何が入ってるのか。

疑問はともかくとして、さすがに中を見せろなんぞと言える訳もなく、

そのまま宿屋へと向かった。




「ぷっはぁ!美味い!」

フィルが酒を右手に、骨付き肉を左手に構えて、貪り食っている。

俺もそうだが、ダラ車に乗り続けた間は、ろくに物を食べられなかったので、

やたらと腹が減っている。

「もうちょっと落ち着いて食べなさいよ。」

「まぁまぁ、いいじゃんか。ほらリュリュも。」

宿屋に隣接している食堂で腹ごなしをしている最中だ。


「それにしてもアリア達、大丈夫かしら?」

「問題ないとは思うが。」

なんだかんだ、あの三人は強いからな。よっぼどのヤツを相手にしないと

苦戦なんぞしないだろうが……


「きっと皆で楽しい旅行気分で旅してるって。とりあえず今はボク達の方が

どうするかだね。何もなかった訳だし。」

「何もないままなら、それに越したことはないんだがな。」

今日は夜も更けていっている。街中を調べるのは、また明日にするとしよう。

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