第268話 増えたアリア

「えっと、どうしよっか?」

姿かたちは全く同じ、ステータスも同じ、何かの状態異常にかかっている

訳でもないらしい。となると、考えられるのは、

「闇魔法とやらに、相手に化ける魔法があったか。」

可能性が一番高いのがそれだな。


「さっさと元に戻らないと……!」

脳筋Aが脳筋Bに斬りかかった。が、脳筋Bはそれを防ぐ。

「いきなり何するんですか!?いや、あなたがサベルだったらちょうど

良かったです!」

反撃に転じる脳筋B。


「うそ……アリアといい勝負してる。」

「ステータスだけじゃなくて、剣技みたいなものまでコピーしてるのか?」

うかつに手を出す訳にもいかず、かといってそのままには出来ないため、

いい方法を考えるが、思い浮かばない。

そのまま勝負を見ていると、予想外の事態が起きた。


「うぁ!?」

「つっ!」

脳筋Bの剣が脳筋Aの頬にかすった時、二人とも・・・・傷ができたのだ。


「ちょ!大丈夫!?」

「え、えぇ……ですが、これは……」

どちらかを傷付けると、もう片方も同じ傷を負うのか……

下手にどうこうできないな。


「ゆ、勇者殿、信じてください!私が本物です!」

「何言ってるんですか!本物は私に決まってるじゃないですか!」

それからは脳筋二人の本物アピールが始まったが、助ける方法がわからないのに

本物が分かっても手出しできないのがな……


「フィル、脳筋。こんな真似が出来る魔法に聞き覚えは?」

「私は……すみません。」

「申し訳ありません、私も……」

脳筋は知らないようだったが、フィルは考え込んでる。


「何か知ってるのか?」

「う~ん……昔、魔族が使ってた魔法で、そんなのがあったような……あ~、もう!

スターナがいたらなぁ~。」

「魔族か。少しでもいいから、その魔法の効果を思い出せないか?」

「え~っとねぇ、ん~……確かだけど、自分で自分を傷付けると、呪いになって

自分も傷付くんじゃなかったかな?だから、誰かに化けてる相手を倒して

もらえばいい……いや、自信ないけど。」

つまり、俺かフィルが攻撃しないと、脳筋が危険って事か。

それから、一応は二人に許可を取って、別々の指の先に俺が切り傷を付けた。

説明通りに傷の共有をしなかったため、フィルの記憶が正しそうだというのは

わかったが、どちらが本物だろうか?


「「勇者殿……」」

二人して俺を見つめるな。しかも片方はサベルだと思うと、ストレスしか溜まらん。

フィルに聞いても、これ以上の情報は思い出せなかったため、どうにかして

見極める必要がある。


「そうだな、なら質問に答えてもらおうか。」

「「質問?」」

定番というか何というか、脳筋に関する質問をして、答えた方が本物という

ヤツだ。さて、何から質問しよう?

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