第264話 集結するリザードマン

あれから緊急事態になるかもという事で、街を走るダラ車を借り受け、イオネに

向かった。

「う~、相変わらず乗り心地は良くないわね……」

「それにしても、この国にもダラ車が通ってるんですね。」

「こういう場所こそ、速く移動できる方法が必要になるものなのかもね。」

他にもっと乗り心地が良い移動手段はないんだろうか?

言っても仕方ないし、とりあえずは手っ取り早く着いたので良しとするか。


「一回、イオネに入るである?」

「そうね~。ここにいても向こうの様子がわからないし、そうした方が

良さそうね~。」

事情は知らんが、大事になりそうなら今すぐに移動した方がいいだろうな。

手続きはナデュからの書簡を見せて短縮し、数分程度で国を跨ぐ事が出来たので、

早速情報を集める。




「う~ん……役に立ちそうな情報は無いわね……」

街を歩き回っていろんな人に聞いたが、確かにリザードマンの姿を多く

見るようになったというだけで、それがどうしてかも、今は何をしているかも

情報は入らない。

こうなると外に出て、自分の目で確かめた方がいいか。


「リザードマンのところへ出向こう。」

「でも、あの大木の場所はわかるである?」

「そこまで行かなくてもいいはずだ。何せこの周りに出没してるって話だからな、

捕まえて話を聞き出せばいい。」

「なるほどね。」

そうして俺達は、街の外でリザードマンを待ち受ける。




数日後、メンバーをグループ分けし、街から少し離れたところを方向ごとに

見回りしていた。

俺は一人で【見識】を使い周りを警戒していたが、それに反応があった。最初は

一般人かと思っていたが、その数が多くなっていき、かなりの大人数になっていった。

「これか?」

ちょうどそこに全員戻ってきたので、全員でその場所へと向かう。


すると、集まっていたのはやはりリザードマンで、何かを話し合っていた。

「どうするの?このまま突入してみる?」

「……そうだな。下手に様子を見て、取り返しが付かなくなってもまずいしな。」

そうして、俺達が姿を見せると驚いた様子を見せたが、すぐに戦闘態勢に入り、

襲ってきた。

スターナが説得しようと声を掛けるが、効果なしだ。


「仕方ない。あまり傷付けない程度に戦うぞ。」

「それ、兄ちゃんが言う?」

ついにフィルも憎まれ口を言うようになったな。


それはともかく、襲ってくるリザードマンは四十人前後といったところ。

かなりの数で襲ってこられたが、このくらいなら問題ない。

メンバーを見ると、スターナのトラップを中心に上手く立ち回っていた。


「ガアアァァァァ!」「グギャアアアア!」

俺も複数人で襲われるが、鞘付きのまま剣を振るい、なぎ倒していく。

十分も経たない内に、襲ってきた奴らはほとんど叩きのめして、どうして

襲ってきたのか質問しようとしたら、どこからか拍手が聞こえてきた。

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