第255話 王都での騒ぎ 結末

広い空間に国王の重々しい言葉が響く。

「此度の件、神聖なる場所での騒動を起こし、巫女たる身でありながら

不貞を働いたリュリュ・ヴェルグラディアは巫女の資格をはく奪するもの

とする。以上だ。」

その発言に周りが騒然とし、クズが目を丸くして言いすがる。


「父上!そんな軽い処罰で済ませるのですか!?処刑されても、おかしく

ないんだ!そうだ、殺してしまえばいいんです!」

さっきは愛してると言ったのに、すぐに殺せと言ったり、忙しい奴だ。


「これ以上、話す事はない。お前も……」

一旦、言葉を区切ると飛んで行った腕から抜き取って、俺が持っている

指輪に目を向けたので、弾いて返してやった。

ゆっくりと手を差し出すと、風を操ってるのか、自然に指に嵌められる。


「秘宝を盗んだのだ。話は後でゆっくりと聞かせてもらおうか?」

国王付きの水精霊が、斬り飛ばされた腕を持ってきて、傷口に合わせて

魔法を唱えると、やっとクズの腕が元の状態に戻った。が、顔色は

出血だけではない、別の理由で青くなっている。


「で、ですが……!」

それでも意見をしようとクズが言葉を発するが、

「まだ気付いてないの、アンタ?」

詐欺師がそれを止める。


「気付いて、ない?一体、何をだ!」

「自分で考えなさい。さて、みんないきましょうか。」

詐欺師に促されたので、俺達は国王とクズ、精霊王達を残して横を通り過ぎる。

周囲は不敬だなんだのとうるさいが、知った事じゃない。


《じゃ~ね~♪》

《シ、シルフちゃんって、そんな活発だったのか……でも、そんなところも

可愛い……ぬっほ。》

《まったね~!》

《いや、俺は会いたかないんだが。》

《あの、バイバイ……》

精霊王達が挨拶してきたので、手を振って返す。他の連中も立ち止まって

会釈なりなんなりを済ませ、さっと歩き出す。





「ぶっはぁ~、疲れた~。」

「サーシャちゃんは……あらら、寝ちゃってるわね~。」

いろいろあったのが体力的にも精神的にもキツかったのか、俺に抱えられたまま

眠ってしまっている。


「説教は起きてからだな。」

「むぅ、それについてだが、彼女のおかげで我々が助かったという事もあってね、

あまり厳しくしないでやってくれると、ありがたい。」

「そうだね。あたい達が無事なのも、その子のおかげだし。」

「優しくしてあげてほしいニャ。」

「わかっている。」

俺もそこまで厳しく言うつもりはなかったが、ゲイル達から援護が入る。


「う~……」

そんな俺達の後ろから脳筋が変な声を出して付いてくる。

「何を唸ってる?」

「だって……だって、勇者殿とリュリュさんが結婚したんですよ!!」

言うな……俺は忘れたかったんだ。


「あんなもの演技だ、演技。」

「でも、結婚じゃないですか!」

「そうよね、ずるいわ~。」

「サーシャにも、後でボクから知らせておいてあげるよ。」

おい、やめろ。余計なお世話だ。


「あれ、リュリュさんは?」

近くにいなかったので、見回したら空高く飛んでいた。





「け、結婚かぁ……勢いに任せてやっちゃったけど、うわぁ~……」

先ほどのアリアの言葉を聞いて、無意識のまま空を飛び、一人でブツブツと

呟き、足をバタつかせて悶えるリュリュ。


「うぁ~……でも、何だろう、あんまり嫌じゃないような……」

そう言って、次哉のかおを思い出すと、顔を真っ赤にさせる。


「むっふぉおおお!恥ずかしい!え、惚れてたの私!?いや、でも助けに

来てくれた時は、確かに少しだけ、ほんのちょっとカッコいいとか思っちゃった

けど……ぬぎゃあああぁぁぁぁぁぁぁ!」

そうして、しばらく空中を漂うリュリュだった。

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