第244話 サーシャの行方

「サーシャが戻らない?」

「は、はい!私達が街に買い物に出て行った時に、サーシャちゃんも部屋から

出て行ったみたいで……」

俺達が部屋に戻ると、部屋で待つ脳筋に説明を聞いた。

すれ違いになるといけないと思い、脳筋が部屋に残り、フィルが外に探しに

行っているらしい。


「これは、マズいかもな……!」

「早く探しに行きましょう。アリアちゃんは引き続き、待っていてもらえる

かしら?」

「わ、わかりました!」

そうして、俺とスターナも外に探しに行くが、いっこうに見つからず、日が

暮れて夜になる。


「くそっ、見つからない!」

「こっちにもいないわ!」

「兄ちゃん達も見つからなかったの!?」

途中でフィルと合流して互いに報告しあうが、結果は変わらず行方不明だ。

何度か戻って脳筋に確認しても、サーシャは帰らない。


その時、窓の方に何気なく目をやると、

「あれは……」

見覚えのある顔と一人の妖精が近くにやって来ていた。






「はい。どなたでしょうか?」

「僕だよ、入るね。」

ノックはしたものの、相手の返事を待つ前に部屋に入ってくるアデントに

不快感を感じるリュリュ。


「こんな夜更けに、いかがされましたか?」

「いや、ちょっと面白い物を見せたくてね。来てくれないか?」

夜中だというのに、外に連れ出そうとするアデント。いくら何でもそういう事・・・・・

ためにという訳ではないだろうが、さすがに女として危機感が働く。


「大丈夫だって、みんないるから。」

「……みんな?」

「うん、そう。だから準備して、ほら。」

仕方なく、外に追い出した後に着替えて、言われたとおりに後を追っていく。


そこは神殿の地下最深部。

巫女が祈りを捧げるだけだというのに、やたら広く作られているその場所は、

ドラゴンが入れるどころではない。何千人の信者が入っても問題なく、周りの壁も

災害時の緊急避難場所としても使えるように、壁を魔鉱石で固めている。

そんな場所に何の用があるんだろうと思っていると、アデント付きのハイエルフ

親衛隊が見えてきた。


「あの……アデント様……」

「あ、聞きたい事は大体わかるから大丈夫だよ。すぐにその理由もわかるから。」

最深部のさらに奥へと進んでいくと、倒れている人影が見えてきた。

非常時でもないのに、神聖な場所に人を入れるなんてと、アデントに腹立たしい

気持ちを抱きながらも、その人影を確認すると、

「……?あれは……!?」


リュリュの眼に映ったのは、行方不明になっていたサーシャだった。

そして近くには、いつか見た旅芸人――ゲイル、バーバラ、クゥの三人も

倒れていた。

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