第238話 王都到着

「ここが王都ですか!」

脳筋が見回して嬉しそうに叫ぶ。


「ボクも久しぶりに来たよ。」

「そうなの~?」

「他の国と違って、どちらかっていうと偉いさんが住むところだからね。

特に用でもない限りは来たりしないんだ。」

確かに街全体はデカいが、前の町と同じように物静かな雰囲気が漂っている。


俺達はダラ車を使って、一気に王都に辿り着いた。できれば、さっさと用事を

終わらせて、次の国――ティリア宗教都市に入れればいいんだが。

「ん~……暑いである。」

「悪い、我慢してくれ。」

事情があって、サーシャには全身が隠れるようなローブを着てもらっている。

通常は着ないような物なので、暑苦しくて仕方ないらしいが、我慢してもらおう。


「さてと……お前の家はどこだ?」

「う……」

物凄くためらっている。ここまで来て、帰りたくないらしい。


「諦めろ。」

「わかってるわよ。はぁ……付いて来て。」

そうして先導して飛んでいく詐欺師の後を全員で付いて行く。が、街の住人が

こちらを見るなりヒソヒソと話をしている。


「何でしょうか?皆さん、こちらを見ているような?」

「え?そう?」

「我が輩のローブ、変であるか?」

「そんなことないわよ~、とっても可愛いわ~。……でも、これは。」

どうやら、スターナは何か感付いたらしい。

……それにしてもイラつくな。全員、殴り倒したくなってくる。


「ちょっと、さすがに王都で暴れないでよね。」

「……善処する。」

「善処じゃないわよ、絶対にしなさい!」

怒鳴るな、うるさい。


そうして、しばらく歩き続けると、先に見えてきたのは大きな神殿のような場所。

ここは家じゃないだろ。と思っていたが、入り口から入る訳ではないらしい。

ティリア教というのの信者だろうか?その神殿に入ろうとする人達を横目に

通り過ぎていく。


「おい、どこまで行くんだ?」

「裏手よ。」

さらに奥へ先導していく詐欺師に続くと、明らかに関係者入り口とでもいう

場所に出る。厳重に門が閉じられ、大柄の門番が傍に二人待機している。


「止まれ!何者だ!」

「ここは立ち入り禁止だ!」

俺達の姿を確認すると走り寄って来て、槍の穂先をこちらに向けてくる。


「え!?あの、ちょっと待ってください!」

「何、どういう事!?」

脳筋とフィルが驚きの声を上げ、サーシャが俺の服の裾を掴む。スターナが

平然としてるのは慣れているのだろうか?

そんな中、詐欺師が前に出る。


「私はリュリュ・ヴェルグラディアです。ここを通しなさい。」

その一言で一人の門番は直立し、もう一人は駆け足で中に入っていく。

しばらくして、戻って来た門番に中へ通され、部屋で待つことになったが、

詐欺師は途中で別れて、どこかへ行ってしまった。


「リュリュは大丈夫である?」

「まぁ、危険な場所でもないし、問題ないと思うけど。」

「それにしても、こんな大きな神殿の中の一室で待機させられるなんて、

もしかしてリュリュさんって、上流階級の方だったんですかね?」

そうして喋りながら待っていると、部屋の扉が開き、男が一人と

その後ろを着替えを済ませた詐欺師が飛んで来た。


「君達がリュリュをここまで護衛してくれたんだってね、ありがとう。

スターナ様までいらっしゃるとは思いもしませんでしたが。」

「そうね~。」

どうやら、この男とスターナは顔が覚えるくらいの知り合いではあるらしい。


「自己紹介をしておこうか。僕は次期国王候補者のアデント・インテビア。

そしてリュリュの婚約者だよ。」

「「「「え!?」」」」

……蓼食う虫も好き好きって言うしな。

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