第236話 様子がおかしい

「あ、町が見えましたよ。」

「あそこで泊まっていくか。」

王都に向かって旅をしている最中、町を見つけた。


「王都まで大体、半分の距離であるね。」

「町の配置は多少計算されながら作られている物なのよ~。」

「お前が言うか?」

イオネ王国は町の位置が定まらないから、微妙に苦労した気がするが。

それはおいといて、俺達はその町に入っていった。





「静かな町だね。」

「そうですね。」

一応は、人も道を歩いているのだが、まるで高級住宅街とでもいうような

雰囲気がして、今までの騒がしい町並みとは違っていた。


「何となく落ち着かないような気がします。」

「騒がしいのに慣れ過ぎたんだろ。」

たまにはそういうのもいいかと、今日はこの町に泊まる事にしたので、宿を探す。


「いらっしゃいませ。」

「部屋は空いてるか。」

「はい、空いておりま……す。」

何故か、宿の店主が言い淀んだ。何かを見ているようだが。

と、俺がそちらを確認しようとした時、詐欺師が割って入った。


「じゃあ、二部屋ね。」

「え、あ……」

「早く。」

「……はい。」

店主と詐欺師のやり取りの意味がわからなかったが、とりあえず部屋は

借りれたので、部屋に足を向ける。


「なぁ、さっきのはなんだったんだ?」

「何でもな~い。」

部屋で詐欺師に確認するが、はぐらかされるばかり。大して問題があるような

事でもないので、そこまで追求する気はないが。


「まぁ、いいじゃないですか。そんな事より、お腹空きませんか?」

「そうだね。ボクもお腹ペコペコだよ。」

「我が輩もである。」

「じゃあ、どこかのお店に行きましょうか~。」

「ちょっと待ったぁ!」

昼飯の提案を詐欺師が大声で遮る。


「その……ここで食べない?」

「せっかく町に泊まっているのにか?」

「私が買ってきてあげるから!」

どうにも様子がおかしいな。


「何か隠してるのか?」

「いや、その、ほら……お願いだから、ね?」

手を合わせて、お願いされた。こんな詐欺師は初めて見る気がする。周りを

見るが、全員が不思議そうな顔をしているが、特に反論もなかったので、

ここで食べるかという結論になった。


「よかった。じゃあ私が買ってくるから。」

「あ、私も付いて行きます。リュリュさんじゃ、さすがに持てないですし。」

そう言って、脳筋と詐欺師が部屋を出ていく。


「どうしたのかしら~?」

「この町に何か秘密でもあるのかな?」

「わからないである。」

そういえば、町に入る前からあまり喋らなくなったしな。ここに居るのが

マズいんだろうか?それなら早めに出て行った方がいいか?

そう考えて三人を残し、俺も少しだけ町を見て回る事にした。

アレ・・が無いかを探すために。

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