第230話 シルフとの交渉を終えて

《んじゃ、ノムりんは宝石を作ってくれてるの?》

「あぁ。」

《やったね!あれ、欲しかったんだ~!》

俺達はシルフの元に来て、説明をしていた。


「まぁ今、現物はないがな。後でノームから受け取ってくれ。」

《そなの?でも、ノムりんは約束破るような子じゃないし~。じゃあ、

あーしも約束守ってあげないとね~。》

「そうしてくれ。」

「シルフ様ってどうやってイフリート様のところに行くんですか?」

そういやそうだな。精霊王は条件が揃った場所じゃないと、姿を現す事が

出来ないんじゃなかったか?


《とっっっっっても疲れるけど、一応は他の場所にも行けるよ~。》

何故か力を込めて喋った際に、嫌そうな顔をした気がするのは、本当に

気のせいだろう。イフリートのところに行きたくないとか、そういう訳

じゃないとしておこう。


「じゃあワタシ達もイフリート様のところに行かないとね~。」

「……行くのか?」

「兄ちゃん、会いたくないからって、露骨に嫌そうな顔しなくても……」

気のせいにしておけ。


「それは、行かない方がいいかもしれませんよ?」

「どして?」

「だって、デートだなんて二人でほら……ロマンチックな雰囲気で

二人の仲が……うふふ♪」

顔を赤くして頬に手を当てながら体をくねらせる脳筋。こっちをチラチラ

見るな。


あれ・・にそんな気の利いたを求める時点で間違ってると思うけどな。」

「デートすると仲良くなるである?」

「えぇ、そりゃあもう。」

「じゃあ我が輩、トゥグアとデートするである。」

サーシャが俺に抱き着いてきた。


「あ、ずるい!じゃあ私も!」

「あら、じゃあ……」

「止めてくれ、頼むから。」

脳筋とスターナを手で制して、何とか引っ付いて来るのを止めさせた。


《ゆーしゃたん、モテモテだね~。》

「たんは止めろ、たんは。」

ここに来ると、何だか面倒くさい事が多くなる気がする。


《しょうがないか。大人数でぞろぞろ行くのも何だし、あーしだけで

行ってみるよ。デート終わったら、ピッガに行くよう言っとくね。》

「悪いな。」

《外の子達にも一旦、出かける事言わなきゃ。》

そう言って、前と同じように姿が溶けて消えていった。


「じゃあ、ボク達はピッガに帰ろうか。」

「そうね。でも今度は少し歩いて行きましょうか。スターナにばっかり負担を

かける訳にもいかないし。」

「ワタシは大丈夫だけど~。」

そうは言うが、連日転移魔法で跳びまくって疲れているはずだし、無駄に

消耗させる必要もないだろう。


「とりあえずは一段落着いたんだ。少しくらいゆっくり旅しても

いいんじゃないか?」

「ん~、勇者ちゃんがそう言うなら。」

そうして俺達はピッガの町まで戻る事になった。

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