第229話 再度、シルフの元へ

翌日、スターナの転移魔法を使ってシルフのいる山まで向かう事になった。

場所は分かってるから迷いはしないが、それでも一日かかってしまうかも

しれない。

そのため、途中まで転移で進んで、その作業に疲れたら普通に歩いて

山を目指す事になった。


「でも、ノーム様のところには向かわなくていいの?」

「おそらく大丈夫だろ。」

昨日、ハリネズミに渡した紙片には書いておいたしな。

”ちゃんと宝石を作っておくように。もし、約束を反故にしたら……”

という内容の紙を一緒に渡しておいたから、変にトラウマを増やしでもしたく

なければ、ちゃんとやってくれるはずだ。


「じゃあ、そろそろ出発しましょうか~?」

「そうだな、頼む。」

そうしてスターナの転移魔法で、今までの道のりを跳びながら戻っていった。





六時間後……

「う~……」

「大丈夫である?」

「平気よ~……」

どう見ても平気そうには見えないスターナがいた。


「休むか。」

「え~……でも~……」

「もう相当な距離を縮める事ができたんだから、ゆっくり休め。」

「そうですよ。それに私達もさすがに六時間転移したら酔ってきましたし……」

その時、全員の顔色が芳しくなかったから、本心なんだろう。


「じゃあ、お言葉に甘えて少しだけ休んでもいいかしら~……?」

「あぁ。なんなら、近くで一泊するか。」

まだ昼だが、グロッキー状態で旅を続けてもいい事はないからな。


「そうね、そうしましょうか。」

「ボクも賛成。お腹も減って来てるしね。」

提案に不満は上がらなかったため、街道から外れたところで野宿する事にした。


場所を取り、枯れ木を集めて夜に備える。

「だけど、スターナの転移魔法って凄いね。ここからならシルフ様のいる

山まであと二、三日って距離かな。」

「通常の転移魔法なら好きなところに行けるんだけれど、ワタシの魔法は

特殊だから~……」

「それでも十分よ。スターナがいてくれて助かったわ。」

俺達はいつも以上にゆっくりと休憩を取って、休んでいた。


「そういえばゲイルさん達は目的地に着きましたかね。」

「全然まだだと思うよ。森を迂回して王都に向かうって言ってたし。」

「王都ってどのあたりにあるである?」

「温泉町のネスノは覚えてるよね?」

あまり思い出したくない町の名前が出てきた。あんなのは二度とゴメンだ!


「あそこから東に四、五日だったかな。ティリア宗教都市の入り口に

近いんだ。」

そこから国境を越えてみるか。だが、その前に。


「詐欺師。」

「ん?」

「お前の家族はどこに住んでるんだ?」

詐欺師はその質問に物凄い嫌そうな顔をした。


「……王都。」

「なら通り道だな。ついでに家にも寄ればいい。」

「……やっぱり、そうしないとダメ?」

コイツは何でここまで会いたがらないのか。俺も気持ちは分からんでも

ないが、理由を知らないしな。


「別に嫌っている訳じゃないであるよね?」

「そりゃ、まぁそうだけど。」

「このままって訳にもいかないんだから、顔見せしときなよ。」

「分かってるわよ……はぁ~ぁ。」

不満が分かりやすく溜息になった。どちらにしろ、もう少し先の話だから

今しばらくは普通に旅に参加すると思うが、もしも家に帰るとなったら

……その時は本人の意思を尊重するしかないか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます