第198話 それから、どうなったか?
「良かった……」
起きてから最初に確認したことは、自分の体がどうなっているかだったが、
従業員の言った通り、効果は一日だけだったらしく、朝にはいつもの姿になり、
ステータスやスキルも子供化する前の状態と同じだった。
それに安心していると、ドアがノックされた。
「ジュギャア、起きてる?起きてるなら、鍵開けてもらえる?」
「あ、あぁ。」
詐欺師の声が聞こえたので、バツの悪さを感じながらドアを開く。
「おはよ~。元に戻ったみたいね。」
「そうだな……」
何というか、目が合わせづらい。
「どうしたのよ?なんかいつもと違うわね。」
「……気にするな。」
「あれは一応、不慮の事故って事で許してあげるわ。私に感謝しなさい!」
「原因が分かってるなら、放っておいてくれ。それにしても、いつもなら脳筋が
来ると思っていたが。」
「それがねぇ……」
どうやら、俺が一番遅く起きたみたいで、他のメンバーの状況を説明されて、
その後に俺と詐欺師で、全員が集まっている食堂へと足を運んだ。
食堂はテーブルがあり、バイキング形式で朝食を取れるようになっていて、
その一角に四人が座っていたため、そこに向かう。
「あだまいだい~……あ、おはようございます……」
「……おはよう。」
脳筋は二日酔いで体調最悪らしい。さらに、
「昨日の事、覚えてるか?」
「昨日ですか……何かありましたっけ?」
「いや、忘れてろ。」
やらかした時の記憶が無いという。
記憶が無いのはフィルも同様だったらしいが、体調は真逆。
今も朝食を凄い勢いで、胃に詰め込んでいる。
「はぐはぐ、もぐ、ぷはぁ!ん、どしたの?」
「いや、よく食えるなと思ってな。」
「お酒を大量に飲んだ次の日は、お腹が凄い減るからね。
食べて食べて食べまくるよ~。」
これがザルというヤツだろうか?
サーシャは、珍しく
「どうしたんだ?」
「一緒に寝ようと思ってたのに鍵がかかってたである。」
そうしないと身の危険を感じたからな。
「せっかく、小っちゃいドゥグワをぎゅってしながら寝れると思ったであるのに。」
……鍵を閉めて良かった気がする。
「勇者ちゃんも早く取ってきた方がいいわよ~。美味しい物が沢山あるから。」
後ろから、スターナに声を掛けられたので、俺も自分の分を取りに行った。
作られた料理を見ると、卵焼きや魚、果物などがあり、前の世界のバイキングを
思い出す。
「これも、日本から来たヤツが教えたんだろうか?」
でも、どうせなら畳や納豆といった日本独特の物も伝えて欲しかったな。
そして、選んでいると横にスターナがやってくる。
「どうした?」
「美味しかったから、おかわりしようと思って。」
そう言って、卵焼きを皿一杯になるくらい大量に取っていく。よくもまぁ、
そんなに食うもんだ。
取り終わったスターナは席に戻るかと思ったが、
「あ、そうだ勇者ちゃん。」
「ん?」
「昨日の返事、待ってるからね♪」
さらっと爆弾発言を残していった。
……どうせならスターナの記憶も消えていてくれると、ありがたかったのに。
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