第182話 洞窟内の敵
俺達はイフリートと会う事の出来る洞窟の前へと着いた。
「うわぁ。洞窟の前でも、凄い熱気が伝わってきますね。」
「奥は溶岩が流れてるくらいだからね、だからこその装飾具だよ。」
フィルの父親に借りた装飾具は【炎の祈り】と呼ばれていて、身に着けると
熱による体力の減少を、ある程度は防いでくれるという。
「仮にも王と言われるヤツが、こんな洞窟に住んでるのもおかしな話だがな。」
「別に住んでるわけじゃないよ。精霊王はそれぞれの属性の力が集まる場所に
現れる事ができるってだけ。」
「そうなのか?」
溶岩が流れてるような場所だから、火の属性の力が強く、イフリートが姿を
見せるっていう事でいいのか?
「まぁ、ここで話しててもしょうがないわね。ちゃっちゃと入りましょ。」
詐欺師のセリフに全員が歩き出し、洞窟の中に入る。
「装飾具の効果ですかね?熱いのに汗一つかかないのは。」
「そうだよ。これが無かったら、奥に着くまでに干からびてるんじゃないかな?」
物騒な洞窟だな。
中に入ると、思ったよりも明るかった。その理由は、岩の隙間などから火が
吹き出ていたからだ。
俺達は、整備なんてされているはずのない、歩きにくい道をひたすら進むだけ。
フィルに聞いてみたが、奥まで十日以上はかかるという大迷宮だそうだ。
しばらく歩き続けていると、唸り声が聞こえてきた。
「ウ~……」「グルルル……」
「早速、お出ましだね!」
体中に火を纏った犬が十数匹、こっちを威嚇してくる。
ヘルハウンド Lv15
HP:346 MP:0 ATK:68 DEF:59
INT:13 MGR:23 DEX:60 LUC:27
スキル
【火の守り】
こいつらに火は効かないか。だが、特殊な攻撃は特にしてこないようだから、
物理攻撃にさえ気を付ければ問題ないな。
「動きにだけ気を付けろ、そうすれば問題ない。」
俺のセリフとともに、ヘルハウンドは襲い掛かって来た。
「ハッ!」「せーのっ!」
「ギャウ!」
俺と脳筋、フィルが前衛で敵を倒す。
「でりゃあ!」「最後尾の子はワタシが片付けるわ。」
「キャイン!」
詐欺師はベル、スターナは魔法が後衛で後ろから敵を倒していく。
サーシャは参加させない。
薬は消耗品で、しかもこの洞窟内だと補充ができそうにないから、最悪の場合を
考えて、なるべく後方待機してもらうように伝えてある。
「終わったか。」
一分経たずに、倒しきった。
「この武器、凄いですね!さすがフィルさんのお父さんが作られた剣です!」
「ふふ~ん、やっぱり?」
フィルが胸を張って、自慢気だ。
「ズギャア、ごめんである……」
「何がだ?」
サーシャが申し訳なさそうな顔をして謝ってきた。
「我が輩、役に立ってないである……」
なんだ、そんな事か。
「気にするな。前に出て、戦えるヤツだけが必要という訳じゃない。怪我や
状態異常になった時に治るって分かってれば、安心して戦闘する事ができる。
そういうバックアップも必要だ。」
「わかったである。」
そうして俺達は洞窟を進み始めた。
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