第181話 洞窟へ

「「親父!」」

どうやらフィルとドゥーダの父らしい。

「加工できない?何でだ?」

いきなりやって来て、無理と言われたので質問してみる。


「なんでぇ、俺らの腕が悪いってのか!?」

「違うわアホども。お前ら、あの素材をちゃんと見とらんのか?」

ドワーフ達は考え込むが、それについて答えられるヤツはいなかった。


「珍しい素材を見て興奮しすぎじゃ。あの素材、相当硬いぞ。

それに温度変化にも強い。この町のどの工房でも、あれを加工できるほどの

高温を出せる設備はないのぉ。」

ざわつくドワーフ達。


「という訳じゃ、お客人。請け負うこと自体はやぶさかではないんじゃが、

方法がないでの。」

「それは残念ね~、どうしようかしら?」

なるほど、さすがレア素材っていうところだな。


「本当に手はないのか?」

「少なくとも、この町では無理じゃの。あの素材を打てるような温度を

常時保てるならば、可能なんじゃが。」

そうなると俺の魔法でも無理だな。あれは同じ温度を一定にという

器用なマネはできない。


「……あ、じゃあ精霊王に頼めばいけるかも。」

「精霊王?誰だ?」

「アンタ知らないの?」

詐欺師が不思議そうな顔をしてくるが、知らんものは知らん。


「精霊って種族がいるでしょ?その種族の一番偉い人よ。」

「この国の王とは違うのか?」

「精霊王は種族の頂点ってだけで、国をまとめてる王とは別よ。」

つまり、そいつに会えば可能性はあるって事か。


「でも、どうやって会うである?」

「それなら、ここから三日ほど行ったところにある洞窟の奥から、

イフリート様と話ができるかも。でも……」

フィルが答えるが、あまりいい顔はしていない。何故だ?


「何か問題でもあるのか?」

「その洞窟は深い迷路みたいな構造になってて、魔物の動きも

活発になってきてるから危険が満載なんだ。それに、奥に着いたところで

出てきてくれなかったら意味ないし。」

「なるほど。」

行ったところで、魔物に出会うだけの無駄足になるかもしれないのか。


「まぁ、他に方法もないしな。俺が行ってみる。」

「でしたら、私も行きます。」

「我が輩も行くである。」

「ワタシがいたら、少しは出てきてくれる確率もあがるかしら~?」

「そうね、私達がいたら大丈夫よ。」

結局、俺達でそのイフリートがいるという洞窟に潜る事になった。


その日の一発芸大会は、とりあえず終了。

イフリートと話を付けてから、どうするかを話し合うとして解散した。



翌日、

「じゃあ、行こうか!」

「何でいるんだ?」

フィルが付いて来ようとする。


「道案内。」

「危険だ。」

何より【見識】があるから特に必要ない。


「まぁまぁ。ほら、兄ちゃん達に親父特製の武器や装飾具を貸してるんだから、

それのメンテナンスだって必要な訳だし。」

確かに、そういう物の手入れはプロにやってもらった方がいいに決まっているが……


「足手まといにはなんないよ。ボクだって武器を調達したんだから。」

フィルが自分の体より大きな斧を、まるで玩具でも扱うように振り回す。

「なら危ないと思ったら、俺の後ろに隠れろ。それが条件だ。」

「う~ん……ま、分かったよ。じゃあよろしくね!」

そうして洞窟には六人で向かう事になった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます