第161話 鉄槌を下せ

「ゆ、勇者?それに女王?」

「そうだ。」

「そうよ~。」

マズいと思ったのか、ガタガタと震えながらこちらを見るブタ。

歯からカチカチという音がして絶え間なく続いている。

そして、俺はブタと倒れているモヤシに近付いて……




「二倍くらいになってるわね。」

「人の上に立つ者が悪事を働いたんだから、当然の報いです!」

「いい薬である。」

「こちらを殺そうとしたなら、生きてるだけマシよ~。」

四人が当然といった感じで、サラだけが少し同情の目を向けてるが、

その余地はない。

モヤシを起こし、二人とも軽く殴って正座させている。そのおかげで顔がパンパンに膨らみ、あまり原型を留めていない。


「さて、これからどうするか?」

「ふぇ?ふぁふぁふぁふぃふぁ!?」

何言ってるかわからんので、しょうがなく回復魔法で治してやる。


「お、おぉ!傷が……!」

「で、お前らの処遇だが「いや!今しがた十分、罰を受けたではないですか!」……」

中々に舐めた事を抜かしやがる。


「詐欺、誘拐、国の重要人物二人を殺人未遂、俺達が関係したのはこれ

くらいだが、あの屋敷からは他にも、収賄や輸入禁止商品の売買なんてのもあるな。屋敷から証拠の書類は見つけてある。」

「そ、それは!」

「ツダ男爵!?なぜ、こんな物を持ってきたのですか!屋敷なんて

持ってくる必要なかったでしょうに!」

「ほ、誇り高い人間の僕ちんが、奴隷ならともかく他種族、しかも薄汚い魔族と近くで寝泊まりするなんぞ、気持ち悪くてやってられるか!」

俺達を放っておいて言い争いを始める二人。

しかも、その言葉の端々に他種族を乏しめるような言葉を使いながら。


その言いように殴り直すかと思った瞬間、後ろの方から寒気のような物が走った。

「ふふふ……」

「スターナ?」

スターナの目が細まり、凍り付くような笑顔を見せている。その笑顔は

やはりブタとモヤシに向けられているが、気付かずに言い争いをして

いる。

サラ、詐欺師、脳筋、サーシャ、全員がスターナから距離を取ってる。


「そろそろ、げ・ん・か・い♪」

「……何がだ?」

「我慢はしてたんだけどね~。」

そう言いながら、こちらに近寄ってくる。さすがに自分達の置かれている状況をやっと飲み込めたらしく、口を閉じ、顔面を蒼白にさせた。

が、遅い。


「貴方達、目の前にいる人間に対して悪口を言う度胸、褒めてあげるわ。

でもね?不愉快なものは不愉快なの。」

ブタモヤシを囲むように表れだす、魔法陣。

「殺しはしないから安心しなさい。でも当たり所が悪かったら……ね?」

「「ぎ……ぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」


スターナは魔法で追い掛け回し、立てなくなったヤツには詐欺師に

命令して回復魔法をかけさせ、その鬼ごっこは三時間ほど続いた。

途中から詐欺師が恐怖で涙目になっていたのは、ご愛嬌だ。



「こんな物かしらね。」

気が済んだらしい時には、ボロ雑巾の方が立派に見えるくらいの物体が

でき上がっていた。

「これから、この人達どうしましょう?」

「放っておくと、また何かやらかすかもしれないである。」

脳筋とサーシャが、今だ笑顔の怖い女王を気にしながら話しかけてきた。


「問題ない。こっからが本番だ。」

「……アンタ、まだ何かやるつもりなの?」

当たり前だろ、復讐なんてされても困るしな。

ちなみにサラは許容量オーバーだったらしく、呆然と立ち尽くしていた。

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