第158話 ツダ男爵の屋敷へ

「それで、ハメられたっていうのはどういう事だ?」

「実は、実際に借金した額は十分の一、5千金貨だったらしいんです。

ですが、その金額が後から改ざんされたらしく……」

「書類や証人の類は?」

「同じ男爵の位にある、レスト様という方が証人になって頂いたん

ですけれど、どうもグルだったらしくて……」

よくありそうな話ではあるな。


「最初は快く相談に乗ってくれて、お金を貸してくれたらしいんですが、

しばらくして急に態度が変わったらしいんです。」

「その話ってお父さんから聞いたのかしら~?」

「そうです。でも父の話だけで証拠は何もありません。」

口約束なら反故にしようと思えば、簡単にできるからな。それに見た目がいくら気持ち悪くても、爵位を持った人間の方が信用されやすいのは

当たり前だしな。


「それで借金を減らすために、売れるものは何でも売ろうと……」

「もしかして、あの屋敷を見てた商人って、売値を調べに来てたの?」

「えぇ。それでも返済額に届かないなら、あのツダ男爵と結婚しなければ

いけないんです。あ、すみません、初対面の方々にこんな事を言って

しまうなんて、どうかしてますね……」

産まれる前に会った記憶があるからじゃないか?とは言えなかった。


「勇者殿!」

脳筋のデカい声が響く。

「こんな酷い話はないです、何とか助けてあげましょう!」

「お前は少し落ち着け。」

鼻息荒く詰め寄ってくる。


「身請けの話はともかく、証拠をどうにかしないとな。」

「男爵に直接聞いてみましょう!」

「さすがに無理である。」

それで正直に喋る人間なら、こんな問題起こらんだろ。


「あいつが今いる場所はどこだ?」

「どうするんですか?」

「ああいうタイプは叩けば埃が出るからな。ちょっと家探しする

だけだ。」

「見ず知らずの人にそんな危険な事をさせる訳には!」

「大した問題じゃない、安心しろ。」

それに、このまま放っておいたら、バルトが恨んで出てくるかも

しれんしな。



「あそこがそうであるか。」

「みたいね。」

サラから何とか情報を聞き出した俺たちは、町からさらに一時間ほど

離れた場所に来ていた。

何でも転移魔法が使える人間を雇い、無駄にデカい屋敷ごとイオネ国に

来ているらしい。


「そこまでしなくても、町に泊まればいいのに。」

「そうですよね、何ででしょう?」

「町が頻繁に消えたりするから、念のためだと思うである。」

そんな事の為に金をかけるのもどうかと思うが。


「まぁいい、さっさと済ませるぞ。俺とスターナで乗り込むから、三人は

近くの森に隠れてろ。もしも何かあったら合図を出すから、その場合は

自己判断で動いてくれ。」

「合図って?」

「俺が魔法をぶっ放す。」

「「「……」」」

その目は何だ。特に間違った事はしてないだろ。


とりあえず三人はさっさと隠れて、俺とスターナで屋敷の近くに寄り、

転移魔法で中に侵入した。

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