第157話 サラの現状

「私、こんな豪華な馬車乗ったの初めてです。」

「我が輩もである。」

「このレベルだと乗ったことある人って、スターナくらいじゃない?」

「ワタシは魔法があるから、あまり乗り物には乗らないのよ~。」

六人乗っても余裕があり、内装も豪華な馬車に、四人は少しはしゃいで

いる。


「こんな物を所有してるなんて、家業が上手くいってるんだな。」

「いえ、それは、その……」

そこまで言うと、複雑そうな顔をして口を閉じた。


「何か問題でもあったのか?」

「あ、いえ、旅の方に言うような事でもないですので。」

「あんまり人のプライバシーを詮索するのはデリカシーが無いわよ、

ヅギャ。」

詐欺師に注意を受けた。正論ではある気がするが、腹が立つ。



その後、約五時間かけて、

「着きました、バルオの町です。」

「思ったよりも近かったな。」

これなら、あの屋敷に泊まらずに歩いても問題なかった。そしたら、

よく分からん出来事に巻き込まれずに済んだのに。


「本当にありがとうございました。」

「いえいえ、お力になれて何よりです。では「サラ!」」

遠くからサラを呼ぶ声が聞こえて、全員そちらを向くと、誰かが

走ってくる。


「ぜぇ……はぁ……サ、サラ、僕を置いてどこに行ってたんだ?お前は

僕ちんの妻なんだから傍にいないとダメだろ……げほっ!」

なんか身長は低く、やたら太ったおじさんが、息を切らしながら喋りかけてくる。

というか、

「「「「婚約者!?」」」」

サーシャ以外が声を上げて驚いた。サーシャは何故か首を傾げていた。


「……申し訳ありません、ツダ男爵。」

「まったく、ん?何だお前ら。」

「彼らは旅の方だそうです。あの屋敷に泊まられていたので、馬車で

送らせていただきました。」

その言葉を聞くと、元々細い目をさらに細めて、こちらを見る。

「ふん!こんな薄汚いヤツら放っておけばいいのだ。お前は僕ちんの

世話だけしていればいいのだ。」

さっきから思っていたが、僕ちんはないだろ。気持ち悪い。それに薄汚いとか、爵位を持ってるくせに、よその国とはいえ女王の顔も分からんのか?


「申し訳ありません。」

「まぁいい。僕ちんは先に戻るから、お前もさっさと来るんだぞ。」

そして、さっき走ってきた道を戻っていった。


「あれ言うためだけに走ってきたであるか?」

「……あの人、何ですか?」

「婚約者って聞こえたけど……」

「えぇ、その……はい。」

凄い嫌そうな顔をしながら、サラが答える。

「よくも、あんなのと結婚する気になったな。」

「しょうがないんです。」


宿屋に向かう最中、話を聞いた。

「借金?」

「父が一度、事業に失敗した際の補てんに、ツダ男爵から借金をしたのですが、それが膨れ上がってしまい……」

「それで借金を返すか、さもなくば結婚しろって言われたのか?」

「はい。」

さっきから、顔が歪みっぱなしになりながら答える。相当嫌なんだろう。


「借金はどのくらいあるの~?」

「5万金貨です。」

5億円か、それは大金だな。

「でも、失敗の補てんにそこまでの借金をするものなの~?」

「それは……」

サラが辺りを見回して、小声で呟く。


「父はハメられたみたいなんです。」

ちょうど宿に着いたので、続きは中に入ってから話す事になった。

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