第154話 繰り返した結果

それから繰り返すやり取り。屋敷に行くとバルトは普通に

対応してくるし、サラが大丈夫と言ってきたので、内心ホッとした。

さっさと部屋に案内してもらい、サラと話す。

「でも、次はどうしよう?」

「原因が分かっただろ。それを取り除いてやればいいだけだ。」

「え、本当!?」


俺は準備を済ませて、食事を終え、少し時間が経った後、ケヴィンの

部屋を訪ねた。

「少しいいか?」

「あ、はい。どうぞ。」

部屋に入るとベッドに腰かけていて、青白い顔をしたケヴィンと

目が合う。

「体調が悪いのか?」

「え、えぇ。でもすぐに良くなるので大丈夫です。」

「……心臓が悪いのか?」

「なぜ、それを!?」

目を見開いて俺を見てくる。


「まぁ気にするな。」

「でも……」

「そこは置いといてだな、これを飲んでみろ。」

俺はビンを差し出した。その中には透明な液体が入っており、ケヴィンは怪しげに確認する。


「これは?」

「心臓に良く効く薬だ。それを飲めばお前の病気は完治する。」

それを聞いてさらに怪しげな顔をするケヴィン。

「信用できないか?」

「……ごめんなさい。」

そうだろうな。急に家を訪ねた他人が自分の病気を知っていて、さらに

完治する薬をくれるなんて。

暗殺しに来たと言われた方が、信じられるってもんだ。


「しかし、俺も飲んでもらわないと困る事情があってな。

水よ。深き生命の源よ……」

しょうがないので魔法をかけて眠らせ、口からゆっくり入れて飲ませて

やる。

【毒合成】を覚えていて良かった。

液体の正体は心臓に負担を与える毒だ。ただし、薄めているため、

回復魔法をかけながら効果が出てくれば、心臓を強化してくれる。


二時間ほど経った頃だろうか、顔の血色も良くなり、眠るケヴィンを

ベッドに横たえて部屋を出る。

「ずっと、そこで待っていたのか?」

「はい。」

ドア付近から陰になっているところに、バルトが立っていた。おそらく、

俺を何かしたら、すぐ殺せるように待機していたのだろう。


「峠は越えた。安心しろ。」

「申し訳ありませんが、その言葉を今すぐ信用する事はできません。」

バルトは殺気を隠そうともしない。

「よく、それな状態で乗り込んでこなかったな。」

「完治するという言葉が聞こえたからだ。もしもそれが嘘で、ケヴィン様に何かあれば、お前や他の連中も全員、殺した上で私も自害しよう。」

強く握りしめたられた拳、爪が手袋を突き破り、血が滴り落ちていた。

「それは怖いな。」


「ねぇ、あれで大丈夫かな?」

「多分な。」

俺は割り当てられた部屋に戻って、ベッドに入るとすぐに眠りに入った。


「勇者殿、おはようございます!」

朝のうるさい挨拶にもさすがに慣れてきたものの、止めてほしいのは

変わらない。

だが今は、それよりも確認しなければいけない事もある。


「よぉ。ケヴィンは?」

「まだ、お目覚めになりません。」

部屋の中で眠っていたケヴィンを見守るように、バルトが立っていた。

「一晩中、様子を見ていたのか?」

「はい。」

忠臣ここに極まれりって感じだな。


その時、

「ん……」

ケヴィンがタイミングよく目を覚ました。

「あ……」

「ケヴィン様、お体は!?」

「……体が軽い。嘘みたいだ!こんな、こんなに目覚めがいいのは

久しぶりだ!!」

どうやら薬は効いてくれたみたいだな。

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