第148話 無事の帰還

「ヅギャ、大丈夫だった!?」

町に戻ると、三人に心配されたので、見た出来事をそのまま話した。


「やっぱり巨大殺人蜂ジャイアントキラービーだったのね。」

「あの透明な板が、羽のカケラって気付かなかったら危なかったわね~。

サーシャちゃん、凄いわ~。」

「おじいちゃんに教わった事があってよかったである。」

脳筋が消えた後に、サーシャが透明な板について思い出し、俺とそれ以外

の三人で二手に分かれ、近くの山を総当りで探していた。

捜索範囲を決めて、見つからなければすぐに戻れと、俺が口酸っぱく

言い含めていたため、見つからなかった詐欺師達は先に引き返していた

らしい。


「町の人達は?」

「全員死んでいた。遺体も食料用にされていたから、巣ごと燃やして、

少しの遺留品だけ持ってきた。」

そう言って、村人が着ていた服の切れ端や、持ち物などを詰めた袋を

掲げる。


「生きたまま食料にってのがエゲつなさすぎるわね……」

「今日は宿に泊まって、明日はお墓を作ってあげましょうか。」

「そうであるな。」

そうして、それぞれ部屋で休む事にした。が、

「そういえば、アリアがやけに上機嫌で戻ってきたけど、何かあったの?」

「!……なんでもない。」

「おんやぁ~?その反応は怪しいわね~、正直に白状しちゃいなさいよ~。」

詐欺師がニヤニヤしながら、顔を肘で突いてきた。



「ひぎょおおお……ね、捻じ切れるぅっ!すみませんでしたぁ!

ぬっほぉぉ……!」

上半身を右手で、下半身を左手で掴んで、雑巾を絞るように力を

込めてみた。


「はぁ、はぁ……千切れるかと思った。」

「安心しろ、瀕死までなら治してやる。」

「そういう問題じゃないわよ!」

ギャーギャー喚いてる詐欺師を放っておいて、俺はさっさと宿の二階に

借りた自分の部屋に行き、眠りに付いた。

サーシャはスターナが一緒に寝てみたいと説得したため、今日は別だ。

詐欺師がエラい顔をしていた気がするが、問題ないだろ。



「お、おひゃようごじゃいますっ!!!!」

「……あぁ。」

翌日の朝は、いつもよりもさらにデカい脳筋の挨拶で起こされた。


「いい天気でしゅね!こんにゃ日はピクニック日和!」

言ってる内容が意味分からないし、噛みすぎだろ。


「で、では先に出ちぇ待ってぃえます!」

同じ方の手と足が同時に出てる。コケるんじゃ「あああぁぁぁぁぁ!」


ドオォォン!


「大丈夫であるかアリア!」

「ちょ、何やってんのよ!?」

……期待を裏切らないヤツだな。


俺も部屋から出て、一階に行くと、魔法で治療されている脳筋の姿が

あった。

「大丈夫か?」

「う~、なんとか……」

「しっかりしなさいよね。」

それから、まだ部屋で寝ていたスターナを起こして朝食などを済ませて、

もう一度だけ各家を回った。墓の中に入れてやものを探すためだ。


「絵ですね。お子さんが描いたんでしょうか?」

「こっちは綺麗な花があったである。」

「本もいいわよね?」

「手編みの服なんかも入れてあげましょうか。」

そうして、あまりかさばらないもの、蜂の巣から回収してきた物を

集めて、町外れに埋める。


「町の方々に女神の加護がありますように。」

脳筋がセリフを言うと、他の三人も目をつぶって手を合わせていたので、

それに習って俺も黙祷した。

前にサーシャが、スケルトンやらを成仏させた時にも聞いたが、

この世界では一般的な祈りの言葉らしい。後片付けやら何やらを済ませていたら、昼を過ぎていたので、出発は明日にしてもう一泊していく事に

した。

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