第144話 停戦

アルラウネ達の村はボロボロ、といっても簡素な家が立ち並ぶだけ

だったので、いっそもう少し湿地帯に近いところに移動するらしく、

その準備を進めていた。


「じゃあ、俺達は先にリザードマンの住処へ行くか。」

「そうね~。サラマンダーと停戦するように伝えなくちゃね~。」

サラマンダーの洞窟には魔石の残りが無かったため、無駄な戦闘を

しないように、こちらから連絡しようという事になった。


村を出る直前に村長の娘が話しかけてきた。

「モウ イッチャウノ?」

「あぁ。」

「……アノ タスケテクレテ アリガトウ。」

「礼なら前にも聞いた。」

そのまま下を向いて動かなくなったので、再度村を出ようとした。


「マッテ!」

「まだ何か用だったか?」

「マタアエル?」

「ん?まぁいつかまた会えるかもな。」

「……マッテル。ダカラ アイニキテ。」

「足が向けばな。」

そのまま五人で村を後にしたが、姿が見えなくなるまで手を振って

見送られた。


「また、やっちまいましたね旦那~。」

「何がだ?」

「行く先々で女の子を落とすだけ落として去っていくとか、手が早いですな~。」

詐欺師が頬を引っ張りながら言ってくる。



「あははははは!た、助けて!体力がうほほほほほ!」

「こんな事もできるのか。」

スターナの城で暗殺者と戦った際に覚えた【毒合成】。サーシャと

同じように自分で 薬を混ぜ合わせる必要があるかと思っていたが、

MPを消費する事で、液体状や霧状に して使えるらしい。

ちなみに詐欺師に使ったのは笑いが止まらなくな「ギャハハハハハ!」……やかましい。


十分後

「み、みぞおちが……肺が……体力が……」

「そんなに辛いのか。まぁ笑わせ続ける拷問っていうのもあったくらい

だしな。」

「お、覚えて、なさい……」

笑い過ぎて瀕死になってたので、残念ではあるが解毒してやった。


「勇者ちゃんって攻めるのが好きなのね~。」

「お前は変なタイミングで会話に入ってくるな。」

「とりあえず、さっさとリザードマンに会いに行くである。」

サーシャの言葉にスターナが転移魔法で移動の準備をする。


そして三角州の大木にたどり着き、リザードマンの長と話をする。

「で、サラマンダーは降伏したと。」

「そうよ~。だから停戦してもらえないかしら?」

「……いいでしょう。今はこちらも忙しく、願ったり叶ったりです。」

「忙しい?何かあったのかしら。」

「卵が孵かえるのです。」


どうやら俺がサラマンダーと洞窟で戦っているくらいの時、一つの卵の

殻にヒビが入ったらしく、その対応に追われているので、そんな事に

こだわってる暇はないそうだ。

「へぇ、子供ねぇ。」

「我が輩、見てみたいであるかも。」

そんなもん、苦手なヤツが見たら絶叫するぞ。


スターナが一応は聞いてみたが、ピリピリしてる雰囲気の中、よそ者を

子供が生まれる部屋に入れる訳にはいかないと断られた。

だろうな、としか言いようがない。

空気が重い場所にずっといるのもなんなので、さっさと大木を後にして

次の町に向かう事にした。

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