第143話 サラマンダーとの決着
「さて、我らに逆らった事、後悔させてくれるわ!」
お決まりのセリフを吐いた後、構えを取る長。
それに合わせて周りのヤツらも戦闘態勢に入るが、さっきの態度などから
恐怖政治を引かれてるっぽいのがわかったので、スターナとの約束通りに
なるべく被害を出さないようにしなければいけない。
「面倒くさいな、まったく。」
長の前に立ちふさがるように数十匹のトカゲが群がっている。
さすがに無傷で剥がすのは難しそうなので、近くのヤツから鞘付きの剣で
薙ぎ払っていく。
「ふん!」
「グギィ!」「アゲッ!」
先ほどと同じように数が減っていくと思ったが途中で、
「固まれ!」
というデカい声が通ったと思うと、トカゲどもは付近のヤツらと体を
密着させて身を固めていた。そして、
「ぐぅっ!……捕まえた!」
俺の剣が途中で止まり、その隙を突いて全員が飛び掛ってきた。
「くくっ!無様だな!」
俺を部下の体で動けないように押し留めて、しかも剣はサラマンダーの
質量に耐え切れず、鞘ごと半ばほどから折れてしまったのを見て、
勝ち誇ったように笑う長。
しかし俺が手加減して、相手も防御に専念していたとはいえ、攻撃を
止められるとは思わなかった。それなりには強いんだな。
「武器も無くなり、身動き取れない状態で勝ち目などあるまい。
冥土の土産だ、最後は我が手で葬ってやろう。」
そう言いながら俺に近付き、目の前で止まる。
「死ね。」
鋭い爪が付いた右手を振り上げ、俺を切り裂こうとしてきたので、
俺も右手の親指で剣の鞘を弾き、力任せに横薙ぎに振るう。
「へぁっ?」
俺にしがみ付いてたサラマンダーが空中に吹っ飛ぶ。
剣の軌跡上にあった長の右手が消えるが、速すぎて痛みがなかったらしい。
間抜けな声を上げるだけで、斬られた事を認識していなかったが、
血が噴出し始めたのを見て、
「あ……あああぁぁぁ!右手がぁ!」
叫び始めた。
数歩だけ近付き、右手の剣をもう一度だけ振るうと、長の上半身がずれ、
下半身もその内、地面に倒れ込んだ。
「はぁ……今まで使ってきて、愛着も湧いてきたんだがな。」
この世界で最初に決闘をする事になってからの付き合いだった剣が折れたのが、
少しだけショックだったが仕方ない。とりあえず後始末しないとな。
その後、他のヤツらには降伏するように伝えるとすんなりと従った。
強いものには従えという事らしい。
そして俺が今殺したばかりの長に付いて、戦争をするべきだ。と賛成していたのは
誰かを確認したが、賛成派はアルラウネの村に攻めてきていたヤツららしい。
残りは中立か、反対派だったと。
事実かどうかはわからないが、スターナとの約束もあるため、無闇に殺すのは
気が引けたので、今すぐリザードマンに停戦を申し込みに行く事、アルラウネに
今後一切手を出さない事、それを守らない場合、今度は皆殺しにすると脅して
約束させた後、俺はアルラウネの村に向かった。
「トュクア、無事だったであるか。」
「あぁ。」
「無茶したんじゃないでしょうね?って言いたいけど、アンタがやると無茶でも
何でもなくなるからね~。」
何か引っかかる言い方だな。
「それで、結局どうなったのかしら?」
四人に洞窟前で合った出来事を話した。
「剣……折れてしまったんですか?」
「残念だったがな。」
鞘ごと折れてしまった剣を見せると脳筋はそのまま黙って喋る事はなかった。
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