第137話 襲う理由

「別にそんなつもりはないから安心しろ。とりあえず事情だけ

説明してくれ。」

そう促しても、まごまごしてるだけで喋ろうとしない。

「一旦、戻るである?」

「いや、アイツらに来て貰おう。」

俺はアイススピアーの呪文を唱えて、デカい氷を作り出した。


少し時間が経って、ヒュン!という転移する際の独特な音が聞こえた。

「勇者殿、大丈夫ですか!?」

「俺達はな。それよりも「スターナサマ!?」」

アルラウネがスターナの姿を認識して、大声を出しながら困惑している。

仮にも王か。


「どうしたの?アルラウネと……この倒れてるサラマンダーの人は?」

「あぁ、さっきな……」

三人に説明し終わると、スターナが渋い顔をする。

「詳しい話を聞かせてもらえないかしら?」

「ワカリマシタ。ムラヘドウゾ。」

王には素直に話す気になったらしく、村へ案内される事になった。


村に着くとエラい騒ぎになって、村長の家に通された。

木の魔物が家を持ってると聞いて不思議に思ったが、見てみると土や石で

周りを固めている、外敵からの攻撃を数回防ぐためだけの簡素な物だった。

「モテナシ デキマセンデ。」

「別にいいわよ~。それより話を聞かせてもらえるかしら、サラマンダーと

イザコザでもあるの?」

「リユウ タイシタコト ナイデス。サラマンダー オサカワル

ソシタラ ワレラ キニクワナイト」

つまり、頭が代替えしたら、アルラウネを気にくわないって

言い出したと。


「なんで急にそんな事、言い出したのかしら?」

「ワカリマセン。デモ ミナ オビエルバカリ。」

「実際に聞いてみた方がいいだろう、コイツにな。」

さっき気絶したサラマンダーの両手両足を詐欺師の土魔法で固めて

連れてきている。

そこに回復魔法をかけて目を覚まさせた。


「うっ、はぁ!ここは?」

「起きたか?」

「何だテメェ――グッ!?」

俺は首根っこを掴み、殺気を放ちながら喋る。

「聞かれたことだけ答えろ。どうしてアルラウネを殺そうとした?」

「か、関係ねぇだ――ガハッ!……リザードマンと組んでるからだ。」

リザードマン?


「もっと詳しく説明しろ。」

「今の長になって、リザードマンは全面戦争中だ。だが、ヤツらは同じ

湿地帯にいるアルラウネと同盟関係にある。後ろから攻撃される前に

って話だ。」

興奮して言葉足らずだが、つまりはとばっちりか。


「あなたたちを攻撃して来た訳じゃないんでしょ?」

「別にいいじゃねぇか、殺したいから殺すだけだろ!?何が悪い!」

この国の法律上、問題はないな。


「どうする?」

「自国民のイザコザだし、解決したいわね。悪いけれど付き合ってくれるかしら?」

「構いませんよ。むしろ見捨てていくわけにはいきません!」

乗りかかった船だ。どうせ駄目だと言っても脳筋は首を突っ込む。


「解決するにしても頭同士で話し合いさせる必要があるな。無理矢理

連れてくるか?」

「とりあえずワタシが出向いてみるわ。」

王が出向いても、話し合いをする気がないなら、どうやっても

無駄だろうがな。


話をしていると家に女型のアルラウネが入ってくる。

「アナタハ!」

「ん?――あぁお前か。」

俺を見て驚いたのは、以前に奴隷商人の家で助けたヤツだった。


「ナゼ ココニ?」

「旅の途中で寄っただけだが、少しだけ交渉役をやるハメになってな。

立て続けに面倒事とかお前も災難だな。」

「ダイジョウブ ミンナ モットツライ」

「そうか。お前はどうしてここにいる?」

「ココ ワタシノオウチ」

どうやら、村長の娘だったらしい。

意外、でもないような顔合わせを済ませて、サラマンダーとリザードマンの

長がいるアジトの場所を教えてもらった。

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