第136話 森の喧騒

「それじゃ、後はよろしくね~。」

俺達はスターナを連れて城を出発する。

見送りは来たが、しばらく歩くと見えなくなった。


「ん~、城の外に出たの久しぶり~。」

スターナが大きく伸びをしながら言う。

「歩きで平気なのですか?それに野宿も頻繁に行わないといけませんよ?」

「大丈夫よ~。それにしても口調が堅苦しいわね、仲間なんだから砕けた感じでいいわよ~。」

「いえ、その、あはは……」

脳筋と詐欺師は俺を挟んで、スターナから距離を取っている。

この二人はスターナが仲間になるっていうのを最後まで反対していたが、

あまり強くも言えずにそのまま流された。


「いい加減に諦めろ。」

「いろいろあるのよ、いろいろ……」

疲れた顔で詐欺師が語るが、もう放っておいて、次の目的地まで適当な話をしながら

歩き続ける。


ちなみにレフィカから聞いた魔王の話は、どこかに世界の真実を書いた

書物がある。

それに魔王の情報も書いてある、だけだった。

他は表紙が真っ黒というだけで、それがどこにあるのかも分からない、

内容も詳しくは分からない、どっかで聞いたのが頭に残ってたが、

どこでかは忘れた。と言われたので、

頭を何回か叩いておいた。詐欺に引っかかった気分だ。




「うぅ……疲れた。」

「大丈夫?」

「何とか……」

あれから五日間程は歩き続けたが、町はなかったので野宿を繰り返す羽目になった。

城で暮らしていたスターナにはさすがにキツかったらしく、むしろ、

ここまで付いてこれた事が凄いと思う。


「このままじゃ、スターナが倒れるわ。少し休憩しましょうか。」

「やっぱり馬を一頭、用意してもらうべきでしたかね。」

「ワタシだけ特別扱いしなくてもいいわ。みんなと同じがいいの。」

脳筋と詐欺師も慣れてきたのか口調も普通になって、何回も呼び捨てにしてくれと

頼まれたので、脳筋がさん付けする以外は呼び捨てになった。


「どうした?」

サーシャが立ち止まって、道の横の森をじっと見ている。

「コゲ臭いである。」

俺達は森の中に視線をやるが、火の手はもちろん臭いも感じない。

だが、サーシャがそう言うのなら、そうなんだろう。


「森の中で火事が広がっても困るな。俺が見てくる。」

「分かりました。お気を付けて。」

俺はサーシャを抱きかかえ、さっさと確認してくる事にした。


「臭いはどっちからだ?」

「このまま、まっすぐである。」

指示通りに進むと、

「アツイ!ヤメテェ!!」

悲痛な叫び声がした。


【見識】で確認したところ、遠くの方に三人。少しスピードを上げて近寄ると、

体長3mくらいで、二足歩行のトカゲが火を吹いていた。

「ハハッ!燃えろぉ!」

「アアァァァァ!!」「カラダガ!」

燃やされているのは知っている種族、アルラウネだ。


俺はトカゲに近寄り、首根っこを掴んで地面に叩きつける。

それだけで動かなくなったが、問題は今なお燃えている連中だ!

体が木だから消える気配がない!クソッ、詐欺師も連れてくるべきだった!


水の攻撃魔法は氷が作られるから消火には向いてない!なら、

「後で治してやるから我慢しろ。

水よ。深き生命の源よ。強大なる者に破滅の足音を聴かせたまえ……

ポイズンレイン!」


水の補助魔法だが、相手を毒にする雨を降らせる魔法を唱える。

「グァァ!」「ギャアアァァ!」

火が消えたのを確認し、すかさず状態異常の回復フルリカバリーと、

怪我の治療キュアをする。


「大丈夫か?」

「コ コロサナイデ!」「ワレラ コロス イミナイ!」

仕方が無かったとはいえ、毒にしてしまったせいで警戒されている。

魔法もどうせなら、もっと万能だったらいいのに。

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