第124話 飛ばされた先は

チッ!ここはどこだ!?

辺りを見回してみると、

「ここは……マノムの城か?」

昨日来たときに見た覚えがある。戦闘が行われているのは近くだから、

今から戻れば復帰できる。そう考えた時、

「静か過ぎるな。」

異変に気付いた。


六魔の城はフレーグベル以外、人の気配があまりしなかった。

マノムの城も例外はないが、時間が深夜であると考えても違和感が

拭えなかった。

「残りは三人で大丈夫か……!?」

城も気になるが、三人が残りの敵を相手にやられてないかが心配だ。


【見識】を使うと、

「二人だけ?」

人を示す印が二つだけだった。


「くそっ!」

そうして決めたのは、その二人のところに行って状況を確認。

何かあれば手っ取り早く終わらせて戻る!

完璧だ!

そうして俺は駆け出した。


印が付いた部屋に行くと、マノムと他に一人いるのがわかったので、

「ハァッ!」

「ぎ!」

とりあえず蹴飛ばした。こんな状況で地面にへたり込んでる女とよく

分からんヤツしかいない時点で怪しいからな。

もしも何も問題がなかったのに、俺がいきなり蹴りを食らわせたの

なら……後で謝ればいいな。


俺はマノムを見て声を掛ける。

「大丈夫か?」

すると、

「白馬の王子様……」

訳の分からない返答。頭でも打ったか?


「何の事かよく分からんが、俺は急いでる。大丈夫ならもう行くぞ。」

「待って!妾も連れて行って欲しいのじゃ!」

地面を這い蹲りながら、俺の服をガッチリ掴みやがる。


「いきなり何だ?急いでると言ったろ。」

今度は返答せずにベッドを指差す。確認すると、

「!!……そうか。」

首を切り裂かれていた。もう死んでいるだろう。

俺が蹴飛ばしたヤツを見ると、見た目がモグラで爪がやたらと長く、

黒いズボンを履いた獣人だった。


ここに置いておくのも危ないかもしれないが、しかし俺も急いでいる。

「しょうがない、捕まってろよ?」

俺がとった行動はマノムを抱きかかえ、部屋の窓を開けて思い切り

ジャンプ。


「キャアアアアァァァァァ……!!」

マノムがやかましかったが、しょうがない。



最初に戦闘を行った地点まで行くと、サーシャがタックル気味に

抱きついてきた。

「ドゥグア!無事であるか!」

「無事だ。それよりこっちは?」

周りを見ると、敵が全員倒れていた。


「勇者殿……ご無事で。」

「あ~づがれだ~……」

脳筋と詐欺師がへばっている。サーシャもよく見ると汚れやらが酷い。


「ゴメンなさい……」

謝ってきたサーシャは言葉遣いが元に戻ってる。よっぽどショック

だったのか。

「いや、今回はある意味助かった。それにお前達が怪我してないなら

問題ない。」

「うん……」

「妾も!妾も心配して欲しいのじゃ!」


マノムがじたばたと暴れ出して鬱陶しい。

「お前は怪我一つしてないだろ。」

「そこはどうでもいいのじゃ!」

なんなんだ一体……



俺たちは敵を詐欺師の魔法で土に埋め、マノムの城に戻り、レフィカの

城に避難する事にした。

「も~……なんなのよ、こんな夜中に~……」

「お前の頼みで飛び回ってやってるんだから文句を言うな。」

眠っていたレフィカを起こして事情説明。


それから俺とレフィカ、他に数十人の兵を転移させて、死んだ使用人の

弔い、暗殺者と襲撃者達の身柄確保、城の守りと大忙しだった。

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