第85話 港町で

あれから船で手伝いなどをして過ごして3日目の昼、

「見えたである。結構大きな町であるな。」

やっと港町が見えてきた。無くなってなくて良かった。


「やっと揺れないところで生活できますね。」

「お前のドジさ加減がハンパなかったからな。」

「うぐっ!」

確かに船はよく揺れた。揺れたが、


「飯は人にぶん投げる。」

「がはっ!」

「ろうそくを落としてボヤ騒ぎを起こす。」

「ぐふっ!」

「船長がぶちギレて部屋でじっとしてろと言われて、その通りにしてたら

壁をぶち抜いて海に落ちたときは、命を張って笑いを取ろうとしてるのかと

悩んだな。」

「違う、違うんです~……」

何が違うというのか?


「何かこう、地上での生活と違って不安定に揺れるからバランスが

取りづらかったんですよ……」

それだけで、ああもドジっぷりを発揮するものだろうか。

「二人とも~、そろそろ降りる準備するよ~。」

詐欺師からの声に、俺と脳筋は準備を始める。



「いろいろと世話になった。」

「こっちのセリフでもあらぁな。お嬢ちゃんはもうちょいしっかりして

ほしかったが。」

「肝に銘じます……」

「船員も一時的に増えた事だし、俺達はもうちょい稼げるように頑張るわ。」

一時的に増えた船員とはセイレーン達だ。

あれから鳥を使って躾け、船の仕事を手伝わせてる最中にイタズラを

しようとしてはマストに吊るして鳥に襲わせ、朝から晩まで仕事させるか

鳥の攻撃を食らわせてたら、やっと大人しくなった。


「一時解除薬は渡してあるよな。」

「ああ。歌おうとしても、しばらくしたら効果が戻るから俺達が解除薬を

使い続けなきゃ鳥に襲われっぱなしだし、下手に反撃もできねぇだろ。」

それに俺も、次は容赦しないと脅したしな。

「セイレーン達も災難だったな。薬の効果が切れるまで働かせられるとはよ。」

「先に食おうとしてきた方が悪い。」

「違ぇねえや。」


しばらく喋っていたが、いつまでもこうしているのもなと思い、

「俺達はそろそろ行くことにする。」

「おう、そうだな。じゃあ俺達も行くわ。また会ったら声かけてくれや。」

海賊――ではなかった。採掘者とでもいうのか?達と別れた。


「とりあえず、町を見て回りましょ。」

「そうするである。」

俺達は港町を歩き出した。


「ふ~ん。大きいだけあって、お店もいろんな種類があるんだね。」

「我が輩、薬屋に入ってみたいである。」

「武器屋も寄ってみたいです。」

三人が提案をしてくるがとりあえず、

「飯を食いながら考えるでいいんじゃないか?」


「へい、お待ち!」

入った食堂で店主は上半身が人間、下半身がヘビの群れというスキュラで

出してきたのは一匹で六人分はあるんじゃないか?というデカさの魚の身を

ほぐして塩をかけただけという豪快な料理だった。

「味は美味くても、飽きないかコレ?」

「四人前でも少し多いであるが。」

「残すのももったいないし、ちゃんと食べましょう。」


数十分後……

「く~る~し~い~。」

「もうお腹一杯である……」

「ここら辺にはデカイ魚しかいないのか……?」

「は、はち切れそうです……」

どうにか全部平らげたが、晩飯は少量で済みそうだ。

そこに、


「テメェみてぇな雑魚が武闘大会で優勝できる訳ねえだろ!」

「あん?雑魚かどうか、ここで試してやろうか?」


トラブルの元になりそうな声が聞こえてきた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます